2017 Fiscal Year Research-status Report
再生不良性貧血を発症させるT細胞シグナルパスウェイの同定
Project/Area Number |
17K16184
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
細川 晃平 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (10786239)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 再生不良性貧血 / トランスクリプトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、RNAシーケンシングを用いて、自己免疫性骨髄不全の再生不良性貧血を発症させるT細胞の新規シグナルパスウェイを同定することである。具体的には新規発症の重症・非重症の再生不良性貧血患者、並びに健常人の末梢血からT細胞サブセット(CD4陽性(ナイーブ・メモリー)T細胞、CD8陽性(ナイーブ・メモリー)T細胞)をセルソーターを用いて分離し、RNAを単離した後、RNAシークエンスを行うことによって、再生不良性患者に特徴的なT細胞サブセットの遺伝子発現プロファイルを網羅的に解析することである。応募者が以前所属していた国立アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health、NIH)、国立心肺血液研究所 (NHLBI; National Heart, Lung, and Blood Institute)、血液部門(Hematology branch)で行っていた研究の延長として、再生不良性貧血の類縁疾患である骨髄不全型PNH(発作性夜間ヘモグロビン尿症)の患者検体・シークエンスデータを用いて解析を行ったところ、TNFR, IGF1, NOTCH, AP-1, ATF2 pathwayなどのパスウェイに関連した遺伝子群の発現が有意に変化している事が分かった。さらにそれらの候補遺伝子群の中から、JUN, TNFAIP3, TOB1, GIMAP4, GIMAP6, TRMT112, NR4A2, CD69, TNFSF8などのT細胞の活性化・制御に関わるような遺伝子の発現がそれぞれのT細胞サブセットにおいて有意に変化している事が、qPCRやフローサイトメトリーにより確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
再生不良性貧血の類縁疾患である骨髄不全型PNH(発作性夜間ヘモグロビン尿症)の患者検体を用いて解析を行ったのは、実験を行うにあたり通院中の患者検体の入手が比較的容易であり、十分な数のT細胞のソーティングが行えたためである。今後は対象患者を新規の再生不良性貧血患者に広げつつ、さらに解析を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、対象患者を新規の再生不良性貧血患者に広げつつ、解析症例数を増やすとともに、免疫抑制療法を受けた患者については6か月後の採血の際に同様の実験を行い、治療前後で比較することにより、発症時に異常であったパスウェイが治療後に改善しているかどうかを確認する。また免疫抑制療法が奏効した患者とそうでない患者がいた場合、両者の発現プロファイルの比較も行うことで、免疫抑制療法の奏効性に関わるパスウェイ・遺伝子群を同定する。また、治療経過中に再発・再増悪した症例があれば、経時的な解析を行うことにより、発症・増悪に関連したパスウェイ・遺伝子群の同定を試みる。
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Causes of Carryover |
対象となる症例数から逆算して所要額を算出したが、症例数が当初の予定より少なかったため。次年度は、対象患者を新規の再生不良性貧血患者に広げることによって、解析症例数をさらに増やす予定であり、そのための実験費用に当てる予定である。また得られた結果については、学会発表を行う予定である。
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Research Products
(2 results)