2018 Fiscal Year Research-status Report
血小板受容体CLEC-2の敗血症病態との関連の解明及び新しい治療標的としての応用
Project/Area Number |
17K16185
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
佐々木 知幸 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (40739124)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | CLEC-2 / 血小板 / 敗血症 / 好中球 / NETs |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,血小板活性化受容体CLEC-2が敗血症治療の標的分子となることを見据え,敗血症病態におけるCLEC-2の役割を解明することである. 平成30年度では,敗血症モデルマウスの検討の優先度を下げ,敗血症病態などにおいて感染防御のために病原体を捕獲して排除する好中球の能動的な細胞死であるNETsの放出と血小板CLEC-2の関与についての検証を進めた.方法は,健常者より得られた静脈血(倫理申請承認済)より好中球と血小板を単離し,好中球を前培養した後に,NETs形成陽性コントロールとしてPMA,大腸菌(0111:B4)由来LPS,血小板,およびCLEC-2ブロッカー(当講座で発見した低分子量化合物で特許出願済および論文化済)あるいはそれらの組み合わせたものを加えてさらに4時間培養し,核染色液DAPIあるいはSytoxGreen染色によってNETs形成を解析した.方法の見直しが必要な個所が複数あり,例えば,好中球の単離に際して一般的に行われる赤血球の溶血操作はNETs形成率を下げる傾向があることが判明した. この検証の結果,LPSあるいは血小板との共培養によっては,NETs形成はほとんど認めなかった.しかし,LPSと血小板とともに培養するとNETs形成を認め,さらにCLEC-2ブロッカーによって抑制されたことから,ヒト好中球のNETs形成に血小板CLEC-2が寄与していることを示唆した.今後,このメカニズムについての詳細を検証する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度において,ヒト好中球が形成するNETsに血小板CLEC-2が関与することを示唆する結果を得た.しかしながら,敗血症マウスモデルの実験結果が安定していない状況が改善されておらず,進捗状況はやや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
①敗血症マウスモデルにおけるCLEC-2の役割を解析する.平成29と30年度では,モデル構築がほとんどとなってしまったが,令和元年度では,敗血症マウスモデルに用いるLPSを大腸菌(0111:B4)由来LPSに絞って解析する.さらに,巨核球・血小板特異的CLEC-2欠損マウスを用いて,血清生化学検査および病理学的アプローチで検討する. ②血小板によるNETs形成促進効果におけるCLEC-2の役割の解析する.平成30年度では,ヒト好中球においてもNETs形成促進に血小板CLEC-2が寄与していることが明らかとなったため,CLEC-2の役割の解析を,令和元年度も継続する.特に血小板CLEC-2が好中球と結合し,活性化しているかどうかをフローサイトメトリーで解析する. ③NETs由来物質による血小板活性化におけるCLEC-2の役割の解析する.NETs由来タンパク質の大部分を占めるヒストンが血小板凝集惹起物質かどうかを,マウスおよびヒト血小板を用いて検証する.
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