2018 Fiscal Year Annual Research Report
Can sympathetic nervous system regulate multiple myeloma?
Project/Area Number |
17K16187
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川野 宏樹 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (90631622)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 骨髄腫 / 交感神経 / 抗腫瘍作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、交感神経による骨髄腫の病態への影響を解析するために、はじめに、各種のヒト骨髄腫細胞を用いて、交感神経作動薬のin vitroにおける作用を調べた。まず、非選択に交感神経を刺激する薬剤が、著明な腫瘍増殖抑制とアポトーシス誘導効果を示すことを明らかにした。さらに各種交感神経受容体に対して選択的に作用する薬剤を用いた結果、特定の受容体作動薬において骨髄腫の抑制効果が認められることが判明した。次に、この選択的交感神経作動薬のマウスへの投与方法について検討し、至適投与量を決定した。in vivoでの骨髄腫の解析モデルとして、マウス骨髄腫細胞である5TGM1をマウス脛骨内へ移植し、生着後の骨髄腫進展がモニタリングできる系を用いた。実際、このマウスへ選択的交感神経作動薬を投与することで、明らかな毒性をみとめず顕著な骨髄腫の抑制効果を画像イメジング(IVIS)で確認することができた。さらに、この骨髄腫抑制機序を明らかにするため、5TGM1細胞における特定の交感神経受容体をCRISPR/Cas9を用いたノックダウンを試みたが、効率的な遺伝子導入が得られず難航し、シングルセルクローニングでは標的受容体の消失は確認できなかった。今後は、この病態制御機能の解析を要するが、本研究成果は骨髄腫の増殖進展が特定の交感神経受容体刺激によって抑制できる可能性を示唆するものであり、臨床で使用される薬剤を応用した新たな骨髄腫治療戦略につながることが期待される。
|