2017 Fiscal Year Research-status Report
IL-2/CD25系に着目したCML幹細胞の維持プログラム同定と臨床的意義の検証
Project/Area Number |
17K16199
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
雁金 大樹 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 客員研究員 (60594588)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 慢性骨髄性白血病 / CD25 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性骨髄性白血病(CML)は造血幹細胞が唯一の根治療法であったが、チロシンキナーゼ阻害薬の導入によりその予後が劇的に改善した。現在はチロシンキナーゼ阻害薬内服継続により病勢のコントロールは可能になった。しかし若年者の罹患も多いことから、経済的問題や妊婦での催奇形性が問題視されており、根治療法の開発が望まれている。 CMLは造血幹細胞にBCR-ABL1変異遺伝子が導入されることで発症する疾患であり、チロシンキナーゼ阻害薬で加療後も、この造血幹細胞分画にBCR-ABL1陽性細胞が残存することで再発する、すなわちCML幹細胞の存在が示唆されてきた。これまでの報告で、CD34陽性分画にその残存白血病幹細胞が存在することが知られていたが、それ以上に細分化された分画を限定するには至っていない。我々はインターロイキン2(IL-2)受容体の一部であるCD25に注目し、まずはマウスモデルで検証した。CD25はマウスCML幹細胞で高発現し、その上流シグナルであるIL-2およびCD25自身を阻害する抗体を使用すると、マウスモデルにおいて生存率が改善しこれを報告した。 今回は実際の患者検体を用いて、このCD25が発現しているのか、そしてCML病態そのものにどのように影響しているのかを検証した。未治療のヒト造血幹前駆細胞分画(CD34+CD38-)においてCD25は高く発現し、その発現率(%CD25+)は骨髄中BCR-ABL1コピー数、すなわち病勢と有意に相関した。また%CD25+は初発時の血小板数と有意に相関し、CMLの予後を予想するSokalスコア高値の患者では有意に%CD25+が高い事が分かった。これらの結果は、CML幹細胞の病態形成能にCD25が大きく関与している事を示しており、根治療法の標的として期待できる結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者検体サンプルは順調に解析できており、結論を導くのに十分量の解析データが得られた。懸念であった初発患者サンプルも十分量得ることができ、初発時の病態形成への関与も解析できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは未治療患者に重点を置き解析したが、今後は本研究の核心であるチロシンキナーゼ阻害薬加療後の、寛解後の患者検体に焦点をあてて研究を推進する。今日の慢性骨髄性白血病において、微小残存病変の検出のためにはDNA検体を用いてBCR-ABL1変異遺伝子を評価するのが標準である。しかし、患者検体毎に切断点は異なっており、DNA-PCRを行うためにはまず患者毎のBCR-ABL1のシークエンスが必要となる。現在、初発時に保存した腫瘍検体を用いてシークエンスを行っており、今後はそれを基にDNA-PCRを行い、微小残存病変の評価を行っていく予定。
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