2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study of aged hematopoietic stem cells through single-cell RNA-sequencing
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17K16200
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
小林 央 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 研究員 (10749542)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / ステムセルエイジング / 単一細胞RNAシークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は2017-2018年度の研究課題「単一細胞解析から解き明かす加齢造血幹細胞の自己複製プログラムの亢進」において、加齢造血幹細胞の単一細胞レベルの遺伝子発現解析を通じた検討を行い、FluidigmC1システムおよびIlluminaHiSeq2000を用いて様々な月齢段階の造血幹細胞(CD150+CD48-CD34- LSK細胞) の単一細胞RNAsequence 解析を実施し、各群50-90細胞分のトランスクリプトームを取得した。若齢の造血幹細胞と加齢した造血幹細胞は遺伝子発現では明確に異なるクラスターを形成するがそれぞれのグループ内では均一な細胞集団であった。すなわち造血幹細胞は加齢に伴って集団の各細胞が一様な質的変化を起こすことが見出され、その分子メカニズムとしては造血幹細胞の自己複製を制御する遺伝子プログラムの発現亢進が示唆された(投稿準備中)。加齢に伴い発現の亢進する遺伝子と造血幹細胞を体外培養した際に発現亢進する遺伝子のうち、TPOシグナル下流遺伝子(巨核球関連遺伝子)が共通しており、造血幹細胞の加齢変化と培養ストレスは密接な関係があると考えられた。培養ストレスと造血幹細胞の加齢変化との共通点を探るため、培養条件(栄養条件、サイトカイン、酸素濃度など)を網羅的に再検討し、高脂質濃度、低サイトカイン、低酸素の条件が造血幹細胞を静止期に維持する必要最低限の要素であることを見出した。しかし現時点では培養後いくつかの未分化マーカーの減少、加齢マーカーの増加、移植生着能の低下が認められる。加齢マーカーの増減は、栄養条件およびサイトカインシグナルと密接に関係していることを明らかにしつつあり、静止期維持培養条件を明らかにすることは、造血幹細胞の未分化維持機構の理解のみならず、その加齢変化の理解にもつながると考えられる。
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