2017 Fiscal Year Research-status Report
定量プロテオミクスによるANCA関連血管炎の活動性/臓器障害マーカーの同定と解析
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17K16209
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
石崎 淳 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教(病院教員) (00620527)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ANCA関連血管炎 / バイオマーカー / 臓器障害マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
ANCA関連血管炎患者(AAV)の血清試料(治療前、6ヶ月後)において、選択反応モニタリング法(SRM;Selected reaction monitoring)による約130種の標的タンパク質(プロトコール1:タンデムMS解析により選出した52種の活動性マーカー候補、プロトコール2:データーベースから選出した血管内皮細胞関連タンパク質87種)の定量解析を行い、TNC、CRP、TIMP-1、LRG1、S100A8/A9、CD93、MMP9、TKTがAAVの活動性マーカー候補として見出された。8種類の活動性マーカー候補とMPO-ANCAを治療前と治療6か月後で寛解状態の血清が保存されている62患者で検討した結果、MMP9以外の8蛋白、即ち、TNC、CRP、TIMP-1、LRG1、S100A8/A9、CD93、TKT、MPO-ANCAは、AUC>0.7をもって、AAVの高活動期と寛解期を区別できる有用なマーカーとして同定された。また、169名のAAV患者の治療前の血清と30名の健常人ドナーの血清との比較においても、MMP9以外の8蛋白は、AUC>0.7をもって、AAVと健常人を区別できる有用なマーカーであった。これらのうち、治療6か月後の寛解と非寛解を区別できるTIMP-1が最も有用で、CRPやMPO-ANCAより鋭敏にAAVの活動性を反映した。また、TKTとCD93は腎障害のマーカー、TNCは浸潤陰影のある肺疾患で上昇し、肺障害のマーカーとしても有用であった。重症度評価(EUVAS分類、RPGN分類、FFS2009)との関連解析で、TKT、CD93、TNCの臓器障害マーカーが重症度と相関し、炎症性マーカーはほとんど相関しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づき、我々が開発した選択反応モニタリング法(SRM;Selected reaction monitoring)による標的タンパク質の高感度な定量手法を用いて、治療前と治療6か月後のANCA関連血管炎患者血清プロテオームの大規模定量解析を行い、マーカー候補に関して、ELISAによる多検体資料によるバリデーション解析を問題なく実施できている。その結果、既存マーカーであるCRPやANCAより有用なANCA関連血管炎の新規活動性マーカーや、臓器障害マーカーを見出すことに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
我々が見出した活動性マーカーの中には、CD93、S100A8/S100A9、LRG1など血管内皮細胞傷害に関与することが推測されるタンパク質が数種類以上存在しており、これらのANCA関連血管炎の病態への関与について解析することは、発症機序の解明や治療標的を考えるうえで非常に重要である。マーカータンパク質の直接的な血管内皮障害への関与の解析を行うため、マーカータンパク質で暴露した肺および皮膚の血管内皮細胞、肺の線維芽細胞とマクロファージから産生されるIL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカインの発現をELISA 法およびリアルタイムPCR 法で測定する。マーカータンパク質の機能解析を行うことで疾患発症機序の解明や新規治療標的の探索を行う。腎や肺の臓器障害マーカーを見出しており、これらが、臓器のどの細胞から発現・産生されているのかを検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)活動性マーカーとして見出したTIMP-1に関して、現在、ANCA関連血管炎患者の血清でELISAを用いて経時的に定量解析を行っており、再発予測に有用であるかを検証している。このため、一部の研究費を次年度に繰り越す。次年度も研究計画書のとおりに、研究費を使用し研究を遂行していく予定である。 (使用計画)ELISAキットに充当予定。
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[Journal Article] Targeted proteomics reveals promising biomarkers of disease activity and organ involvement in antineutrophil cytoplasmic antibody-associated vasculitis2017
Author(s)
Ishizaki Jun, Takemori Ayako, Suemori Koichiro, Matsumoto Takuya, Akita Yoko, Sada Ken-ei, Yuzawa Yukio, Amano Koichi, Takasaki Yoshinari, Harigai Masayoshi, Arimura Yoshihiro, Makino Hirofumi, Yasukawa Masaki, Takemori Nobuaki, Hasegawa Hitoshi
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Journal Title
Arthritis Research & Therapy
Volume: 19
Pages: 218
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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