2017 Fiscal Year Research-status Report
全身性エリテマトーデスにおける自己反応性B細胞の質的異常の解明
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17K16219
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
好川 真以子 産業医科大学, 医学部, 非常勤助教 (70596676)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / B細胞 / ケモカイン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、SLE患者末梢血における自己反応性B細胞の質的異常を、B細胞のケモカイン受容体発現に着目して特定し、それらの誘導機構、病的意義を検討し、病原性B細胞に特異的な新規の治療標的分子を探索することを目的としている。我々は予備検討として、健常人(HD)、関節リウマチ(RA)患者、SLE患者の末梢血より単核球を分離し、T細胞のサブセット分類に用いられるケモカイン受容体 (CXCR5、CXCR3)に着目してB細胞の特徴を検討したところ、SLE患者B細胞ではCXCR5-CXCR3-、CXCR5-CXCR3+B細胞が増加していることを見出した。 2017年度は、同サブセットとSLE患者背景(年齢、性別、罹病期間、治療歴、重要臓器障害の有無)、疾患活動性(SLEDAI, BILAGなど)、治療反応性など臨床病態との関連を評価した。また、T細胞サブセットとの関連も評価した。その結果、CXCR5-CXCR3-B細胞は抗Sm抗体価と正相関した。また、CXCR5-CXCR3+B細胞は活動性症例で増加し、疾患活動性改善とともに減少した。いずれのサブセットもSLE患者背景との相関はなかった。T細胞サブセットとの関連については、CXCR5-B細胞は活性化Tfh細胞と正相関し、CXCR5-CXCR3+B細胞はエフェクターメモリーT細胞と正相関した。さらに、予備検討で、in vitroでは、健常人末梢血単核球から分離したB細胞をIFNβで刺激するとCXCR5発現が減弱し、IFNγで刺激するとCXCR3発現が増強することを見出しており、同刺激時の転写因子発現を評価した。その結果、ヒトB細胞におけるIFN-γ刺激はT-betの発現を誘導した。以上より、SLEではType I IFNを介したCXCR5減弱とType II IFNを介したCXCR3増強を伴うB細胞が病態形成に関与している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね計画どおりに、実験、解析を進行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、ケモカイン受容体発現異常を有するサブセットの病原性を明らかにするため、遊走能、エフェクター機能(抗体産生能、サイトカイン産生能)、抗原提示能の評価や、患者組織における同サブセットの浸潤の評価を行う。
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