2018 Fiscal Year Research-status Report
Molecular epidemiological study of syphilis in Japan
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17K16222
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安達 英輔 東京大学, 医科学研究所, 助教 (80725804)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 梅毒 / 分子疫学 / MLST |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も多くの梅毒患者が来院し、検体を収集した。本研究では1) 日本由来T. pallidumのゲノム解析と、識別能の高い系統解析が可能となる2) MLST(multi-locus sequence typing)法の確立による分子疫学研究を提案していた。2019年1月まで、当院で52例から検体を収集している。DNAの抽出や、MLSTの解析については、今後行なっていく予定である。 共同研究者が大分大学から大阪市立大学へ異動し、解析場所についても変更し、新たな共同研究基盤を作った。これまでの遺伝子解析結果は、当院から得られた、非HIV患者の腸粘膜よりDNAを抽出した。今年度、当施設でおこなった解析では、ATCCの標準株の検出感度は検出感度は10~100copies/μLで、上記の患者でもPCRでの腸結核の診断が可能であった。特に皮疹などの明らかな2期梅毒の症状の患者でも検出できることがわかった。また、別の症例でこちらは粘膜からの遺伝子抽出は行っていないが、稀な病態である梅毒性胃炎の症例をJMA journalに報告している。 また、大阪市立大での遺伝子解析で、2例の陰部スワブ検体のひとつから、MLSTの解析も可能な十分なDNAを得ることができた。しかしながら、梅毒血清反応陽性の10例の血液検体では遺伝子を得ることができなかった。血液検査から分子疫学に必要な量のDNAを得られていない。当初予定していた、国内の他施設からの検体集めについては解析が進められていないことや、共同研究者の異動などで実施できていないのが現状である。 今後は現在得られている、残りの検体についてDNAの抽出と遺伝子解析を行っていく予定である。また血清の検体も得られており、当初予定していたデジタルPCRを利用した、遺伝子の検出などを行えるよう準備していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、昨年度に引き続き、当施設で検体を集めることができた。現在までに50例以上の症例が集まっており、稀な症例については学術誌で報告も行っている。DNAの抽出と遺伝子解析を行っており、PCRの感度などわかっているが、当初から難しいと考えられた、血液検査からのDNA抽出は成功していないのが現状である。一方、スワブ検体からは必要なDNAが得られていると考えられ、まずは、MLST法の確立するための準備をすることができた。当初解析を行う予定であった共同研究者の異動があり、新たな基盤を作る必要があったが、今年度は実験をはじめることができている。デジタルPCRなどの機器については実施場所の目処がつけられており解析を行っていきたいと考えている。検体集めについては規模を広げていないが、当施設だけでも50検体以上の血液検体を集められている。
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Strategy for Future Research Activity |
抽出に成功したDNAを用いて、遺伝子配列情報を利用したMLST解析を確立することを目指す。本研究のMLST法では、従来のCDCシステムと整合性を保つためTP0136, TP0548, 23S rRNA genesの3遺伝子を用いるのに加え、Treponema近縁種や公共データベースでの予備的な探索でGroEL,RecA, GlpK, AdK, GDH, PyrG, RplBの遺伝子を候補としながら、日本由来株を十分な識別能で解析可能かを検証していく。成果により再検証するが、T. pallidumの多様性が低く、ハウスキーピング遺伝子のみで識別能が不十分な場合、CDCシステムのRFLP解析に使用されているtpr/arp領域を使用する予定である。現在、解析していない他の検体についても実験を行っていく。近年、原理的には試料中のDNAが1コピーでも検出でき、絶対定量が可能となるデジタルPCR法がliquid biopsyとして注目されており、本法が梅毒患者の血液にも応用可能と推測されているが、これについては使える機器の目処が立っており、実験を実施していきたい
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Causes of Carryover |
当初解析を行う予定であった共同研究者の異動があり、新たな基盤を作る必要があった。やや遅れていたが、今年度はようやく、実験を行う新たな基盤づくりを行い、実験をはじめることができている。今後予定している、デジタルPCRなどの機器については実施場所の目処がつけられており、今後進めていきたい。これまで当施設から梅毒患者から50ほどの血液検体が得られているが、現在は一部しか解析できていない。また、海外の複数の拠点で検体を集める事に関して研究協力者と準備をしている段階である。使用計画としては遺伝子解析を進めMLSTによる分子疫学の確立するための実験や現在解析できていない検体についても解析を行っていくため費用、研究のための情報収集や意見交換、またその成果を国内外で発表していくために使用する。
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[Journal Article] Cytokine Profile in Sweet's Syndrome under the Treatment of Pulmonary Toxoplasmosis Complicated with Myelodysplastic Syndrome.2019
Author(s)
Matsuzawa Y, Adachi E, Takahashi A, Sato H, Lim LA, Komatsu T, Koibuchi T, Nagamura-Inoue T, Tojo A, Nagayama H, Yotsuyanagi H
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Journal Title
Intern Med
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] GUT HOMING CD4+ T CELL COUNT IS ASSOCIATED WITH CHRONIC GASTRITIS ACTIVITY2018
Author(s)
Hidenori Sato, Yasunori Ota, Yasuo Matsubara, Tadashi Kikuchi, Michiko Koga, Tomohiko Koibuchi, Takeya Tsusumi, Tetsuro Matano, Ai Kawana-Tachikawa, Hiroshi Yotsuyanagi, Eisuke Adachi.
Organizer
International AIDS Conference 2018
Int'l Joint Research
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[Presentation] HIV感染者におけるヘリコバクターピロリと胃マイクロバイオームの相互作用2018
Author(s)
桧垣朱友子, 城戸康年, 安達英輔, 松本昴, 岩崎もにか, 松原康朗, 大田泰徳, 佐藤秀憲, 菊地正, 古賀道子, 鯉渕智彦, 堤武也, 四柳宏, 山岡吉生
Organizer
第32回日本エイズ学会学術集会・総会