2017 Fiscal Year Research-status Report
CRE感染症に対するカルバペネム・サルベージ治療の開発
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17K16223
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
萩谷 英大 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (30718531)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 薬剤耐性菌 / カルバペネム耐性腸内細菌科細菌 / セフメタゾール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE) に対する既存抗菌薬のリバイバル使用の有効性を検討することを目的としている。とくにセファマイシン系抗菌薬であるセフメタゾールのカルバペネム系薬剤に対する併用効果をin vitroにて確認することを第一段階と考えている。 初年度においては、種々のカルバペネマーゼ(KPC, NDM, IMP型)を産生するCRE株に対する併用効果を、ダブルディスク法、チェッカーボード法、殺菌曲線実験などにより検討した。その結果、いずれのカルバペネマーゼ型に対してもセフメタゾール・メロペネム併用は単剤条件よりも有効性が高い可能性が示唆された。また抗菌薬の作用による菌株崩壊の様子を電子顕微鏡で観察したところ、KPC産生CREに対して、併用条件下では単剤よりも明らかに菌株崩壊が進むことも確認した。 次年度は、動物実験系およびセフメタゾール以外のサルベージ候補薬の検討を行う予定である。 これまでに得られた研究結果は、欧州感染症学会・米国微生物学会等で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、併用効果確認実験に終始し、当初予定していた液体クロマトグラフィ法による加水分解産物濃度の定量化、阻害定数(乖離係数)の算出から各種カルバペネマーゼとセフメタゾールの親和性を比較する、といった実験が実施できていない。また、動物感染モデルを用いたin vivoでの併用効果の確認実験も未実施である。次年度はこれらの実験環境を整え、実施して行く予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、セフメタゾール以外の新たなサルベージ候補薬の探索も目的としている。すでに臨床使用されているセファマイシン系抗菌薬であるflomoxef, latamoxef にも相乗効果が期待される。候補薬の選択は、同様の実験系を用いて、菌液と抗菌薬液の反応液中の抗菌薬濃度定量化と、阻害定数(乖離係数)の算出により行う。新たな候補薬が見つかった場合、チェッカーボード法・殺菌曲線・動物感染モデルを用いて併用効果の確認実験を行う。
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Causes of Carryover |
予定実験が滞り、試薬購入が当初の予定よりも少なかったため、次年度使用額が生じた。次年度は予定実験を速やかにおこなうことで、予算通りの収支を目指す。
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