2018 Fiscal Year Annual Research Report
Kidney-associated molecular and immunological analysis in treatment with direct-acting antivirals for hepatitis C virus infection
Project/Area Number |
17K16225
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小川 栄一 九州大学, 医学研究院, 助教 (70621283)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 慢性腎臓病 / 血清補体価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、C型慢性肝炎において直接作用型抗ウイルス剤(Direct acting antivirals: DAA)の導入によりウイルス排除(Sustained viral response: SVR)が得られた症例を対象に、治癒後の腎機能を免疫学的に解析を試みた研究である。 平成29年度では、慢性腎臓病(CKD)症例に対するソホスブビル(SOF)/レジパスビル(LDV)およびSOF/リバビリン(RBV)療法前後の腎病態を検証した。SOFは腎代謝薬剤であるため、CKDステージ3のみが治療対象となるが、SVR率はそれぞれ97.4%および93.5%であり、非CKD症例と差は認められなかった。また、腎機能が悪化する症例も認めなかった。 平成30年度では、新規DAA薬剤であるエルバスビル(EBV)+グラゾプレビル(GZR)治療症例(CKD合計105例、透析治療20例を含む)において、同治療効果と腎機能の推移を調査した。結果として、腎機能に関わらず98.1%(103/105)でSVRを達成し、治療中に腎機能が悪化する症例は1例(1.0%)のみであった。また、推算糸球体濾過量(eGFR)の推移に有意な変動は認めなかった。免疫学的解析として、エンドスタチンおよび血清補体価を測定した。エンドスタチン値の改善は認められなかったが、C3およびC4値は治療後に緩やかな改善傾向が認められた。元来HCVによるクリオグロブリン血症(低補体血症と関連)に伴う腎障害との強い関連は報告されており、本研究の結果からCKD症例における将来的な腎保護にも、DAA治療によるHCV排除が優位に働く可能性が示唆された。
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