2017 Fiscal Year Research-status Report
肺胞マクロファージ免疫に着目した非結核性抗酸菌症の病原性の解明
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17K16226
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
井手 昇太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 研究協力員 (20773336)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非結核性抗酸菌 / マクロファージ / NF-κB / 感染免疫 / Mycobacterium / NTM / MAC |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)非結核性抗酸菌(NTM) 臨床分離菌株とマクロファージ NF-κB 活性および炎症性サイトカイン産生の関連性の解析:研究に先立ち、マウスマクロファージRAW265.7-Lenti-NFκBを用いたNF-κB活性能の評価を安定して実施できる必要がある。この目的を達成するため、まずはマクロファージ NF-κB 活性能がすでに確認されている肺炎球菌を用いて、予備実験を進めた。実験に用いるRAW細胞株の安定した培養法を確立し、当施設内の機器を用いてルシフェラーゼアッセイによりNF-κB活性を適切に評価できることを確認した。さらに肺炎球菌の菌株ごとにNF-κB活性能が異なること、結果に再現性があることを確認することができた。 (2)NTM臨床分離株の収集と臨床情報の集積:過去5年間に当院で保存されているNTM臨床分離株を収集した。全168株(男性63名、女性105名)が収集でき、内訳はM. avium 83株、M. intracellulare 72株、M. abscessus 5株、M. chelonae 6株、M. fortuitum 2株だった。本研究にあたっては、菌株ごとに適切な菌量を設定する必要がある。まずは頻度の高いM. avium, M. intracellulareを用い、マウスマクロファージRAW265.7-Lenti-NFκBを用いてルシフェラーゼアッセイでNF-κB活性能を評価できることを確認した。さらにマクロファージの刺激に適切な菌量の設定を進めているところである。 (なお、本研究は長崎大学病院臨床研究倫理委員会で承認を得ている)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
菌株の収集は100症例を目標にしていたが、過去5年間の保存株のうち168株を収集することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
NTM168株が収集できたため、それぞれの症例の臨床背景を調査する。基礎疾患、NTMの症の重症度、進行度、画像病型について評価予定である。また、それぞれの株ごとについてマクロファージ NF-κB 活性能を評価していく。さらに、菌のmorphotype(rough typeかsmooth typeか)により、マクロファージNF-kB活性能やNTM症の臨床像に違いを認めるかについても解析する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度の実験は当該科研費以外の研究費を用いて実施したため。 次年度以降、物品および旅費としての使用を計画している。
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