2019 Fiscal Year Research-status Report
肺胞マクロファージ免疫に着目した非結核性抗酸菌症の病原性の解明
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17K16226
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
井手 昇太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (20773336)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非結核性抗酸菌 / マクロファージ / NF-κB / 感染免疫 / Mycobacterium / NTM / MAC / 気管支拡張症 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】肺非結核性抗酸菌症(pNTM)の進展に関与する因子は明らかでない。本研究でNTM菌種と肺病変の進展にマクロファージ(AM)NF-κB誘導能が関係するか明らかにする。 【研究手法】pNTMの臨床分離株59株(M.avium 29株、M.intracellulare 17株、M.abscessus 10株、M.kansasii 3株;M.abscessusはSmooth(S型)とRough(R型)に分類)を使用した。由来となった患者の胸部CTで気管支拡張の程度を測定した(Reiff score)。それぞれの菌株で遺伝子導入AM細胞株を刺激し、NF-κB活性を定量した。さらに細胞上清のTNF-α, IL-1βをELISA法で測定した。 【結果概要】(1)マクロファージNF-κB誘導能はNTM菌種によって異なる:M.avium、M.intracellulareはほぼ同等のAM NF-κB活性誘導能であったが、M.kansasiiでは高い値を示した。M.abscessusでは、S型で低く、R型は高い値を示した。(2)NTM感染マクロファージが産生するTNF-αはNF-κB依存性、IL-1βはNF-κB非依存性だった。(3)pNTMの血液炎症マーカー(白血球・CRP)はマクロファージNF-κB誘導能と相関しなかった。(4)NTM菌株のマクロファージNF-B誘導能と肺NTM症の培養陽性期間は逆相関関係だった(p=0.029)。(5)NTM菌株のマクロファージNF-κB誘導能と肺NTM症の気管支拡張の程度は逆相関関係だった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
菌株の収集、NF-κB誘導能の評価、サイトカインの測定、臨床病型・画像の評価など、おおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
NTMの菌種間におけるマクロファージNF-κB活性誘導能の相違には、TLR2 Receptorを介したサイトカイン誘導能が関与している可能性がある。また、NF-κBの誘導能が低い菌では,プログラムされた細胞死の一つであるネクロトーシスがマクロファージにおいて誘導され,肺病変の進行や排菌期間の延長につながる可能性が示唆される。今後はこれらの仮説についても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究遂行上、次年度の支出を考慮した上で当該科研費以外の研究費も使用したため、次年度使用が生じた。 次年度には実験用物品や旅費としての使用を計画している。
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Research Products
(2 results)