2018 Fiscal Year Research-status Report
Pelizaeus-Merzbacher病治療薬の簡便なスクリーニング法の開発
Project/Area Number |
17K16237
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
植松 有里佳 (沼田) 東北大学, 大学病院, 特任助手 (70735779)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 髄鞘化障害 / Pelizaeus-Merzbacher病 / PLP1 |
Outline of Annual Research Achievements |
先天性大脳白質形成不全症であるPelizaeus-Merzbacher病(PMD)は、PLP1遺伝子変異により発症する、難治性の疾患で、有効な治療法は未だない。中でも重症型を示すPLP1遺伝子点変異では、小胞体ストレスを抑制することからオリゴデンドロサイトでのアポトーシスを抑制し、症状を改善すると考えられており、我々は過去の研究から見出した小胞体ストレスを改善させる可能性のある食品由来の15種類の化合物を用いて、オリゴデンドロサイトでのアポトーシスの抑制効果を検討し、PMD治療薬の簡便なスクリーニング法を開発することを目指した。この目的のために、PMDの病態をin vitroで再現するPLP1遺伝子変異を導入したオリゴデンドロサイトの初代培養系を確立することが必要であるが、培養に用いるプレートのコーティングの問題があり、安定的なスクリーニングを行うことができなかった。そこで、PLP1遺伝子のヌル変異が原因となり、遺伝性痙性両麻痺を呈する、PMDの軽症型のモデルの作成を目指し、末梢神経の髄鞘化培養モデルにおいてレンチウイルスによるPLP1遺伝子のノックダウンを行ったところ、末梢神経での髄鞘化が遅延し、末梢神経障害を呈するPMD軽症型のモデルを安定的に作成することが可能となった。これはPMDの軽症型のモデルになると思われるため今後このモデルにおいて、食品由来成分での髄鞘化促進が可能か検討したいと考えている。このPMD軽症型は、小胞体ストレス関連疾患ではないことから、食品由来化合物を用いた網羅的なスクリーニングを行う必要があり、今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オリゴデンドロサイトの初代培養系を用いたPMDのモデルは、安定的なスクリーニングを行うことができなかったため、PLP1遺伝子のヌル変異が原因となり、遺伝性痙性両麻痺を呈する、PMDの軽症型のモデルの作成を行うという予定の変更があった。 このモデルでは、軽症型のPMDのモデルとなり、髄鞘化が障害されることが確認できたが、未だ食品サンプルにより髄鞘化が促進できるかどうかの検討を行うには至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
軽症型のPMDのモデルである、末梢神経の髄鞘化障害モデルに置いて、網羅的に食品サンプルを用いた髄鞘化促進のスクリーニングを行う必要がある。成熟した髄鞘化のマーカータンパクであるMBPに対する抗体を用いて、免疫組織科学的に髄鞘化の程度が促進されているかを検討する予定である。これには、研究協力者と相談し、協力して研究を推進したいと考えている。
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Causes of Carryover |
2017年度は、5月から3月まで11ヵ月間、産休と育休てで研究を行うことができなかったため、次年度にも研究を継続し、研究費を使用する予定である。
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