2018 Fiscal Year Research-status Report
進行性家族性肝内胆汁うっ滞症における新規疾患遺伝子の探索とその分子機能の解析
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17K16240
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
今川 和生 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (40708509)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遺伝性肝疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、乳児期発症の原因不明胆汁うっ滞を呈する患者を対象にターゲットシークエンスを実施した。一部の患者ではなおも疾患の原因と特定できる遺伝子変異が特定困難で、エクソーム解析を行う予定である。また、解析過程で検出されたバリアントの絞り込みでは、肝生検が実施されている患者で病理像を再度検鏡し、遺伝型と表現型が合致するかどうかの確認作業を行った。 解析過程で検出されたバリアントのうちABCB11 C129Yは、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症2型において本邦で最も多く報告されているミスセンス変異であり、このアミノ酸置換に伴うタンパク分子機能の変化がどのように起きるかについて検討した。ABCB11 C129Yでは、細胞膜上での発現低下とそれによる胆汁酸排泄能低下が起きることが分かった。本邦では欧米で多いABCB11変異のうちE297GやD482Gは遺伝子解析で全く検出されず、一方でC129Yは本邦のみで検出され、その他の地域では報告がない。このようにして、ABCB11変異の人種差とその分子機能に関する新たな知見を得た。 新生児期・乳児期早期に起きる胆汁うっ滞性肝障害は鑑別すべき診断が多岐に渡る。特に胆道閉鎖症との鑑別が重要で、胆道閉鎖症が否定された症例では進行性家族性肝内胆汁うっ滞症を含め遺伝性肝疾患の精査が必要である。日本胆道閉鎖症研究会や日本新生児成育医学会学術集会で、その診断体制の提案について演題発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析検体はおおむね順調に収集されているが、さらに解析精度を向上させるために症例登録・検体収集に努める。
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Strategy for Future Research Activity |
解析検体を増やすため、共同研究体制や研究協力ネットワークを整備する。 症例の表現型との照合を進める。
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Causes of Carryover |
解析が比較的順調に進んだため、必要経費が当初の見込みより少なく済んだ。次年度に解析件数を当初の予定より増やす見込みであり、その解析用の試薬等経費に使用する。
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Research Products
(9 results)