2017 Fiscal Year Research-status Report
microRNAによるGorlin症候群の新規経路阻害剤とバイオマーカーの開発
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17K16241
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
塩浜 直 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10737034)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Gorlin症候群 / microRNA / PTCH1 / 髄芽腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
Gorlin症候群は、Hedgehog経路の恒常的亢進により、形態異常と腫瘍形成をきたす先天奇形症候群である。Hedgehog経路を阻害する低分子化合物が抗腫瘍薬として開発されたが、過剰な経路阻害により重篤な副作用を高率に認めることが課題となっている。そのため新規機序の治療薬とHedgehog経路活性を反映するバイオマーカーの開発が待たれている。 本研究は、Gorlin症候群患者及びモデルマウスから採取した線維芽細胞、血清microRNAの発現解析を通して、(1) 新規機序のHedgehog経路阻害剤と (2) Hedgehog経路活性を評価するバイオマーカーの開発を行うことを目的とした。 Gorlin症候群患者及び正常対照患者の健常皮膚から培養した線維芽細胞を用いて網羅的microRNA発現解析とreal time PCRを行った。Gorlin症候群由来線維芽細胞におけるhsa-miR-196a-5pの低下とその標的遺伝子であるMAP3K1の上昇を認めた。 さらにC3H10T1/2細胞において、ligandレベル及びSMOレベルでHedgehog経路を亢進させる機能解析により、Hedgehog経路活性とmiR-196a-5p発現低下の関連性についての知見を得た。次年度では、髄芽腫や基底細胞癌の細胞株を持ちいて、miR-196a-5pの細胞増殖についての影響を検討する。さらに高磁場MRIにより、PTCHヘテロ欠失マウスの脳MRIを撮像し、髄芽腫の定量評価を行い、microRNAによる抗腫瘍効果評価の評価の系を確立する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PTCH1変異が同定されたGS患者5名および正常対照者3名の皮膚線維芽細胞からRNAを抽出し、マイクロアレイ(Gene Chip miRNA 4.0 Array)を各群で632のhuman microRNA発現を網羅的に解析し、2倍以上の発現量の差を有する遺伝子を抽出して、Gorlin症候群で低発現な16遺伝子、高発現な19遺伝子を同定した。Heatmapから、そのうち、発現量の多い4つmicroRNA(hsa-miR-10a-5p、hsa-miR-196a-5p、hsa-miR-615-3p、hsa-miR-4485)を候補遺伝子として選択した。そのうち、GS群におけるhsa-miR-196a-5pの低下、hsa-miR-4485の上昇がreal time-RT PCRでも確認された。Hsa-miR-196a-5pは種を超えて保存されており、腫瘍細胞における増殖や細胞死への役割が認知されているmicroRNAであり、Hsa-miR-196a-5pの解析を優先した。Hsa-miR-196a-5p の標的遺伝子としては、①In silicoデータで3’UTR領域の2か所と相補的に結合することが予想され、②皮膚組織に発現があり、③Hedgehog経路と相互作用の既報があるMAP3K1を候補と考えたが、実際にGorlin症候群由来の線維芽細胞ではMAP3K1の発現が高値だった。次にHedgehog経路の機能解析に適したC3H10T1/2細胞を用いて、Hedgehog経路とmm-miR-196a-5pの関係を検討した。Hedgehog経路をligand、SMOレベルの刺激によって亢進させると、miR-196a-5pが低下しmap3k1が上昇する傾向を認めた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度のヒト線維芽細胞を用いた解析は、mRNA及びmicroRNAの発現量を中心とした解析であり、本年は蛋白レベルと表現型レベルでの解析を中心とする。まずGorlin症候群で発症するHedgehog経路関連の腫瘍に対して、miR-196a-5pがどのような影響を来すかを検討する。 まず髄芽腫細胞株と基底細胞癌細胞株を用いて、Hedgehog阻害剤によるmiR-196a-5pの発現量の変化を解析する。次にLNA microRNA mimicを一過性過剰発現し、miR-196a-5p mimicによるHedgehog経路への影響、表現型への影響を評価する。さらにWild Typeの線維芽細胞で MAP3K1のKnockdownを行い、細胞増殖への影響を評価する。 細胞レベルでの機能評価としては、MTT Assayによる細胞増殖の定量、細胞フラックスアナライザーによる細胞代謝測定を行う。さらに個体レベルでの抗腫瘍効果の判定のために、高磁場MRIによるPTCHヘテロ欠失マウスの脳MRI撮影を行い、マウス小脳髄芽腫の定量評価を行うための系を確立する。
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Research Products
(2 results)