2017 Fiscal Year Research-status Report
疾患iPS/ES細胞を用いた自己炎症性疾患(中條―西村症候群)の病態解析
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17K16254
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾崎 富美子 (本田富美子) 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (60795277)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プロテアソーム関連炎症性疾患 / 中條-西村症候群(NNS) / iPS/ES細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
NNSは、乳幼児期に凍瘡様皮疹で発症し、繰り返す炎症と進行するやせ・消耗を主症状とする疾患である。NNSは、免疫プロテアソームβ5iをコードしているPSMB8遺伝子に異常がある。NNSと類似の症状を呈する疾患として、海外においてもCANDLE症候群やJMP症候群が知られており、これらはプロテアソーム不全症として新たな疾患カテゴリーを形成し、プロテアソーム遺伝子と疾患を結びつける疾患群(プロテアソーム関連自己炎症疾患群)に分類される。免疫プロテアソームの異常と病態形成の機序については、不明な点が多く、未だ有効な治療法が確立されていない。 そこで、PSMB8変異有無以外は遺伝背景をそろえたiPS/ES細胞をCRISPR/Cas9ゲノム集技術を用いて作製し、NNS患者さん由来iPS/ES細胞から作製した単球系細胞を用いた解析により、炎症反応の検討を行った。 NNS患者さん由来iPS/ES細胞から作製した単球系細胞は、刺激前から過剰な活性酸素の産生が上昇しており、IFN-gamma + TNF-alpha刺激により、異常なJAK/STAT経路、p38MAPK経路の活性化や様々な生体応答反応経路が亢進していることが分かった。JAK阻害薬、MAPK阻害薬、抗酸化剤の投与により、刺激変異型PSMB8細胞で過剰に産生されていた炎症性サイトカインやケモカインが抑えられ、その効果は、各シグナルの病態への寄与や相互作用を示唆するとともに、新たな薬剤スクリーニングに有用であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、患者さん由来のiPS細胞を用いてNNSの疾患モデルを構築し、異常な炎症を引き起こすメカニズムの一端を明らかにした。この成果により、NNSを含めた免疫プロテアソーム異常症の病態解明、治療法開発が一層進むことが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、中條―西村症候群に対する創薬のための化合物スクリーニングを行うが、病態解析と創薬スクリーニングを有機的に組み合わせて、研究の進捗を図る。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Pluripotent stem cell model of Nakajo-Nishimura syndrome untangles proinflammatory pathways mediated by oxidative stress.2018
Author(s)
Fumiko Honda-Ozaki, Madoka Terashima, Akira Niwa, Norikazu Saiki, Yuri Kawasaki, Haruna Ito, Akitsu Hotta, Ayako Nagahashi, Koichi Igura, Isao Asaka, Hongmei Lisa Li, Masakatsu Yanagimachi, Fukumi Furukawa, Nobuo Kanazawa, Tatsutoshi Nakahata, and Megumu K. Saito
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Journal Title
Stemcell Reports
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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