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2017 Fiscal Year Research-status Report

iPS細胞を用いた家族性地中海熱の診断・治療法の開発

Research Project

Project/Area Number 17K16255
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

田中 孝之  京都大学, 大学院 医学研究科, 医員 (20625678)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2019-03-31
Keywords家族性地中海熱 / サイトカイン
Outline of Annual Research Achievements

MEFV M694I/E148変異を持つ家族性地中海熱典型例5例の血液を用いて、患者に特徴的なサイトカイン分泌を評価した。単球およびマクロファージをCD Toxin Aで刺激した。その結果、単球では健常者と同じくらいのIL-1b分泌が見られる一方、コルヒチンにより分泌が抑制されなかった。一方、in vitroで1週間分化させたマクロファージでは、IL-1bの分泌が亢進しており、コルヒチンにより抑制を受けた。
次に、M694I/E148Q変異を持つ3名の患者由来のiPS細胞からマクロファージを作製し、サイトカイン分泌を評価した。その結果、末梢血由来マクロファージと同様に、IL-1bの分泌が亢進しており、コルヒチンにより抑制を受けた。
さらに、家族性地中海熱の診断基準を満たすMEFV新規変異の2家系を見付けたため、患者及び同一家系の無症状健常者の血液を用いて、サイトカイン分泌を評価した。その結果、P257LおよびN679H変異の患者においても、M694I患者と同様の単球、およびマクロファージからのIL-1b分泌が認められた。
MEFV変異の意義についてこれまで、M694V/M694I変異は家族性地中海熱の原因変異として認められる一方、それ以外の変異はSNPの可能性が高いとされていたが、今回P257LとN679H変異は家族性地中海熱の原因変異である可能性が高いことを示した。さらに、単球及びマクロファージでのサイトカイン分泌を評価することで、意義不明のMEFV変異の機能評価ができる可能性を示した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

M694I変異を持つ患者に特徴的なサイトカイン分泌を明らかにした。
また、M694I変異を持つ3名の患者由来のiPS細胞からマクロファージを作製し、サイトカイン分泌を評価した。その結果、末梢血由来マクロファージと同様に、IL-1bの分泌が亢進しており、コルヒチンにより抑制を受けた。
さらに、家族性地中海熱の診断基準を満たすMEFV新規変異の2家系でサイトカイン分泌を評価し、P257LおよびN679H変異の患者においても、M694I患者と同様の単球、およびマクロファージからのIL-1b分泌が認められることを明らかにした。
MEFV変異の意義についてこれまで、M694V/M694I変異は家族性地中海熱の原因変異として認められる一方、それ以外の変異はSNPの可能性が高いとされていたが、今回P257LとN679H変異は家族性地中海熱の原因変異である可能性が高いことを示した。さらに、単球及びマクロファージでのサイトカイン分泌を評価することで、意義不明のMEFV変異の機能評価ができる可能性を示した。
本研究の目的のうち、診断系の確立に関しては、サイトカイン分泌を評価することで意義不明のMEFVの評価ができる可能性を示しており、順調に進展している。治療法の開発に関しては、患者iPS細胞由来マクロファージでIL-1bの過剰分泌という表現型が安定して再現出来ており、順調に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

患者検体を用いた実験については、SNPを持たない健常者、M694I変異を持つ患者については十分な検体数で検討ができているが、E148QなどのSNPを持つ健常者や意義不明の変異を持つ家系での検討の数が少ないので、これから検体数を増やして解析を行う。
P257L、N679H変異の病原性に関する検討では、これらの変異が過剰IL-1bを引き起こしているという直接的な証明が不十分なので、正常iPS細胞へ変異MEFVを発現させてマクロファージへ分化させ、過剰IL-1b分泌が見られるかを検討する。
当初の研究計画に記載していた、M694I/E148Q変異患者におけるE148Qの寄与を明らかにする計画に関して、M694I/E148Q変異iPS細胞由来マクロファージではIL-1b過剰分泌が見られることが明らかになっているため、次にiPS細胞で遺伝子編集を行い、E148Q変異だけを修復すると表現型が変化するかを評価し、E148Q変異の寄与を検討する。

Causes of Carryover

今年度は家族性地中海熱の患者検体が当初の予定より多く入手できたので、そちらの解析を優先して行った。患者検体は採血当日に単球を得ることができ、その後1週間の分化だけでマクロファージも入手することができるため、実験に用いるサイトカインや培養液が少ない量で済んだので、予定より少ない額の支出となった。
今年度はiPS細胞から作製したマクロファージを用いた実験が中心になる。iPS細胞からマクロファージを作る際には末梢血からの作成に比べて4倍程度のサイトカインが必要となる。さらに、患者由来細胞とコントロールの単純な比較ではなく、ここの変異を発現したiPS細胞由来マクロファージや、M694/E148Q変異のうち、E148Q変異だけを修復したマクロファージなど使用する株の種類が増え、必然的に対照となるクローンも多くなるため、作成するマクロファージが多くなる。
このため、今年度は前年度より多くの研究費を用いて実験を行う予定としている。

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 患者由来iPS細胞を用いた家族性地中海熱の病態解明2018

    • Author(s)
      田中孝之 西小森隆太 井田弘明 柴田洋史 井澤和司 河合朋樹 八角高裕 齋藤潤 平家俊男
    • Organizer
      第121回 日本小児科学会学術集会

URL: 

Published: 2019-03-07  

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