2017 Fiscal Year Research-status Report
ミクログリアを基盤とした筋ジストロフィーにおける中枢神経障害の分子機構の解明
Project/Area Number |
17K16256
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井福 正隆 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (60575637)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミクログリア / ジストロフィン / ジストロフィンアイソフォーム / ゲノム編集 / Dp71 |
Outline of Annual Research Achievements |
ジストロフィンは筋ジストロフィーの原因たんぱくとしてよく知られているが、近年、筋細胞のみでなく広く体内に分布していることが明らかになってきた。またジストロフィン遺伝子中には複数の独立したプロモーターが存在しており、full-lengthのジストロフィン(427kDa)に加えて様々な大きさのジストロフィンアイソフォームが発現することが知られており、分子量によってDp260、Dp140、Dp116、Dp71とよばれる。ジストロフィンアイソフォームは筋細胞には発現せず、主に中枢神経系や末梢神経、腎臓、肝臓などで発現している。Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)は約3分の1の症例が精神遅滞や認知機能障害を伴う事が報告されており、これらの中枢神経症状には脳内のジストロフィンアイソフォームの異常が関与している可能性が示唆されているが、詳細は不明である。そこで本研究では主にミクログリアで発現しているジストロフィンアイソフォームに焦点を当て、機能解析を通して筋ジストロフィー患者で発症する精神遅滞、認知機能障害、自閉症との関連を探るのが目的である。そこでまず、ミクログリア細胞株であるMG5細胞におけるジストロフィンアイソフォームの発現をWestern blottingにて検討した。その結果、MG5細胞にはジストロフィンアイソフォームのDp71が発現していること明らかとなった。そこで、Dp71をCRISPR-Cas9システムを用いてノックアウトするため、MG5細胞に対してPiggyBacトランスポゾンシステムを用いてCas9を安定発現した細胞株を樹立した。その後、Dp71に対するsgRNAを3種類設計しCas9蛋白質安定発現MG5細胞にそれぞれトランスフェクションした。その後gDNAを回収しT7E1 assayにてsgRNAの評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究室の移設のため一時実験を中断せざるを得なくなり、さらに実験系の再セットアップに時間がかかってしまった。 また、当初はプラスミドを用いてCas9発現株を作製しようと試みたが、Cas9の発現レベルが低くかったため、transfection効率等を改善するための実験に時間がかかってしまったのも研究が遅れている要因だと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
Dp71欠損のミクログリア細胞株を作製後、その細胞株を用いてDp71の機能解析を行う。さらにin vivoにおいてもミクログリア特異的にDp71を欠損させたマウスを作製し自閉症や精神疾患モデル動物で使用される行動試験を行う。また当研究室では既にDMD患者さん由来iPS細胞を樹立しているので、この未分化のiPS細胞をミクログリアに分化させる分化誘導法を確立し分子病態の解明を行う。
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Causes of Carryover |
試薬やマウス購入の予算を計上していたが,今年度は研究室の移設等でなかなか実験が進まなかったため。
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