2017 Fiscal Year Research-status Report
TRPC6遺伝子異常によるネフローゼ症候群の発症機序の解明と新規治療法の開発
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17K16262
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中西 啓太 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (00793712)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 / NGSを用いた遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の患者からの血液検体を全国の施設から集め、TRPC6遺伝子を含む原因遺伝子パネルを用いた次世代シークエンサーで遺伝子解析を行ってきた。2018年2月現在までに全国から160検体が集まった。その解析結果については、2017年6月に行われた日本小児腎臓病学会の学術集会で発表、2017年10月にアメリカで行われた国際学会(ASN)、及び2018年2月に東京で行われたISN Frontierという国際学会でポスター発表を行った。また、今後2019年6月には、日本腎臓学会学術集会でも発表する予定である。今後も全国から同様の患者の検体の収集を継続し、データ解析を行っていく予定である。今回これらの解析結果の発表を行ったことで、日本におけるステロイド抵抗性ネフローゼ症候群患者の内、原因遺伝子がどのような割合で同定されるかということを明らかにしただけでなく、原因遺伝子によっては、例えばミトコンドリア関連遺伝子については特異的な治療方法があり、治療を行うことで腎予後をかなり改善することが期待でき、大変重要な結果となったことが考えられた。また、原因遺伝子を同定された患者は腎移植後の再発のリスクが低いことが知られており、治療方針を決定する上でも重要な結果だと考えられる。さらには、原因遺伝子によっては、様々な合併症が見られるものもあり、原因遺伝子を同定することで、今後生じると予測される合併症を知ることが可能となり、より早期に合併症に対応できるようになったと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では、H29年度内に実験の結果が得られる予定であったが、やや遅れてはいるが、施設内での機械を利用することで、計画した実験は今後進めていける予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
同定した新規のTRPC6遺伝子変異8個について、遺伝子変異を挿入したcDNAを培養細胞に遺伝子導入し、TRPC6蛋白を培養細胞の細胞膜に強制発現させ、in vitro 実験系においてその機能解析を行う実験を進めている。具体的には、新規変異を挿入したベクターはすべて作成したので、今後は実際に培養細胞にベクターを遺伝子導入し、cDNAを強制発現させた上で、細胞内Ca濃度の測定を行っていく予定である。さらに、TRPC6阻害薬であるLaryxyl Acetateを加えることで細胞内のCa濃度に変化が起こるか確かめる予定である。有意義な結果が得られ次第、各学会で発表し、最終的には論文化する予定である。
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