2017 Fiscal Year Annual Research Report
典型的溶血性尿毒症症候群における慢性腎障害の進展増悪因子の解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
17K16273
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
大原 信一郎 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00566846)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 溶血性尿毒症症候群 / 慢性腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
溶血性尿毒症症候群(HUS)に罹患し、一過性の腎障害から回復した後、10 年から 20 年以上長期経過した遠隔期に、高血圧を合併し、腎機能障害が顕在化する症例が存在する。HUS罹患後の長期フォローの必要性、特に蛋白尿、腎機能血圧管理の重要性を論じた報告は散見されるが、それらを実証した基礎的研究は少ない。HUSによる急性腎障害から回復後の長期観察において、慢性腎障害(CKD)の進展因子としてのDAMPs/PAMPsがいかに影響するかの詳細も不明である。①HUSマウスモデルを用いて、急性期の一過性腎機能低下後の長期観察を行い、マウスモデルにおける長期腎予後の検討する。②長期観察したHUSマウスモデル(HUS-CKDマウス)に対して、LPS等の外因性抗原刺激を行い腎機能の再増悪を検証する。③長期観察したHUS-CKDマウスをLPS刺激群と対照群(生食群)に分け、比較検討を行った。6週齢のC57BL/6マウスに対して、LPS(100μg/kg)+ Shiga Toxin2(100ng/kg) または生理食塩水を単回腹腔内投与し、各群共に60週齢まで経過観察した。40週齢時にLPS100μg/kg、対照群には生食の追加投与を行った。経時的に体重変化、腎機能検査、腎病理組織学的検討を行なった。60週齢においてStx2+LPS投与群は、対照群に比して、体重減少率が高く、腎機能障害および腎組織学的病変も高度であった。また40週齢においてLPS追加投与を行った群では、対照群に比して体重増加が少なく、腎糸球体の硬化病変および尿細管病変が顕著に認められた。以上から、早期にLPS+ Shiga Toxin2による腎障害をきたした症例は、発症後長期間を経て、腎機能低下をきたす可能性がある。また、発症後長期間を経て、感染などのよるLPS刺激を受けた症例は、急性再増悪をきたす可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)