2018 Fiscal Year Research-status Report
小児脳腫瘍に対する新規樹状細胞治療における抗原提示機序の分子免疫学的解析
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17K16280
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
山岡 正慶 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70614874)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小児脳腫瘍 / 樹状細胞 / 免疫治療 / 抗原提示 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、難治性小児脳腫瘍に対する新規樹状細胞治療の奏効機序や耐性獲得機序を明らかにし、より効果的ながん免疫療法を確立することを目的とする。本免疫治療は再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づき関東信越厚生局より平成30年2月に認可を得て症例集積を開始している。現在3例(上衣腫2例、膠芽腫1例)が登録され、2例が治療中である。本研究ではこれらの小児例に加え、先行して行われている成人症例も研究対象とし、分子免疫学的解析を行っている。 昨年度からの継続実験として、腫瘍病理標本における免疫関連細胞や免疫関連分子の局在を免疫染色学的手法を用いた解析を行っており、特定の腫瘍関連ペプチドが他の癌腫と異なった発現パターンを呈していることが分かった。また上衣腫においては髄芽腫や膠芽腫と比べて腫瘍関連マクロファージ(TAM)が多く存在していることも明らかになり、末梢血単球から人為的に誘導したマクロファージやミクログリア様細胞と実際のTAMの遺伝子発現が相関するかを調べるべく、現在検体の集積および基礎実験を行っている。また、現在治療中の上衣腫の症例におけるネオアンチゲン解析も進行中である。具体的には培養腫瘍細胞を用いて次世代シークエンサーにより全エクソン解析および全トランスクリプトーム解析を行い、腫瘍特異的に発現している変異型蛋白リストを作成した。今後は変異ペプチドとHLAとの結合能を予測し、ネオアンチゲンの候補となる分子の同定を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本新規免疫治療の臨床研究の症例集積が予定よりも遅れており、小児患者における腫瘍細胞および末梢血単核球の検体量がまだ不十分な状況である。現在得られている2症例の腫瘍および末梢血単核球を用いた解析に加え、先行して開始している成人例や健常人を対象とした予備解析および実験系確立のための基礎実験が中心となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は小児例の症例集積をさらに進め、実際の対象症例の検体を用いた解析を行っていく。具体的には、今回明らかになった腫瘍特異的ペプチドを用いたT-Select MHC Tetramer解析を行い、CTLの誘導効率を検証する。また、免疫治療前後の患者末梢血単核球と実際の腫瘍細胞を用いてキリングアッセイを行い、実際の免疫治療効果との相関や末梢血を用いた免疫モニタリングの実用性について検証する。 最終的に得られたデータを実際の臨床情報と照合・吟味し、融合細胞からどのような抗原が提示され、細胞障害性T細胞がどのように腫瘍細胞を認識・攻撃しているかを検証し、それまでに得られた新たな知見を論文化する。
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Causes of Carryover |
2018年度の研究では実際の症例数が予想よりも少なかったことから、当初の予定経費よりも支出は少なかった。この分は2019年度に繰り越し、本来予定しているELISpotアッセイやTetramerアッセイ、腫瘍検体を用いた免疫組織学的解析と合わせて実施する予定である。
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