2017 Fiscal Year Research-status Report
脊髄性筋萎縮症患者細胞におけるSMNタンパク質複合体形成能の解析
Project/Area Number |
17K16281
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
荒川 玲子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40623111)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | SMNタンパク質 / 脊髄性筋萎縮症 / イメージングフローサイトメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄性筋萎縮症(SMA)はsurvival motor neuron (SMN)タンパク質の低下により進行性筋萎縮を生じる常染色体劣性遺伝性疾患である。SMNタンパク質はユビキタスに発現し全身臓器に関わると推測される。しかし、SMA患者では脊髄前角の変性による下位運動ニューロン徴候が主体であり、全身の臓器がどのような機能不全状態に陥っているかについては明らかとなっていない。我々は、SMA患者由来細胞におけるSMNタンパク質の発現様式が健常人と比較し、どのような違いがあるかを明らかとするために、本年度は、SMA患者由来の血液細胞、リンパ芽球、線維芽細胞を採取、細胞株の作成を行った。すべての患者もしくは代諾者へはインフォームドコンセントによる文書同意の上、採血により血液を採取した。血液検体は計30名から採取した。うち5名からは、リンパ球を血液から分離し、Epstein- Barrウイルストランスホームによりリンパ芽球株を樹立した。SMA患者3名においては胃瘻造設の手術時の皮膚組織を採取後、20%胎児ウシ血清-DMEM培地で培養、増殖させ、線維芽細胞株を樹立した。 SMA患者由来血液に対しては、表面抗原マーカーで染色し、溶血、固定処理を実施、細胞透過処理後に、抗SMN抗体およびHoechstで染色、イメージングフローサイトメトリー(Image Stream)で血液細胞におけるSMNタンパク質発現量および局在解析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
希少難病のSMAであるが、患者試料の収集はほぼ順調に進めることができ、患者血液におけるSMNタンパク質発現量および局在解析を実施することが可能であることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
患者試料として、他施設と共同しさらに多くの線維芽細胞、筋細胞株を樹立する計画を進めている。細胞株を作成した上で、SMNタンパク質の三次元構造解析を進めていく予定としている。
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Causes of Carryover |
患者試料収集において、胃ろう造設術などが次年度となったケースがあり、手術の予定に合わせ、収集を予定している。収集した細胞を用いてSMNタンパク質複合体の存在様式、発現量検討を行うために、SMNタンパク質複合体免疫沈降、タンパク質分子間相互作用解析を予定している。これらの解析結果をもとに、SMA患者および健常人の血液、皮膚、筋細胞を用いた細胞内SMNタンパク質複合体形成能の質的、量的違いについて検討する。
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