2017 Fiscal Year Annual Research Report
全ての神経型スフィンゴリピドーシスの克服を目指した治療法:クラッベ病をモデルに
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17K16284
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
日野 知子 川崎医科大学, 医学部, 助教 (30705455)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遺伝性脱髄疾患 / クラッベ病 / 基質抑制剤 / AMPK阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
クラッベ病は、ミエリン鞘の主要な構成脂質のガラクトシルセラミド(GalCer)の分解酵素であるGalCer-beta-galactosidase(GALC)の遺伝的欠損により、ミエリン形成細胞にGALCの分解基質であるGalCerおよびガラクトシルスフィンゴシン(GalSph)が蓄積し、中枢及び末梢神経系に脱髄をきたす疾患である。 近年、既存のAMP-activated protein kinase(AMPK)活性化剤であるメトホルミンと5-Aminoimidazole-4-carboxamid ribonucleotide(AICAR)が、あらゆるスフィンゴ糖脂質の前駆物質であるグルコシルセラミド(GlcCer)およびGalCerの合成に必須のUDP-Glc、UDP-Galの合成を抑制することが報告された。 本研究では両化合物のクラッベ病における新規基質抑制剤としての有効性を検証することを目的とし、今年度はマウス投与試験を実施した。同胞の野生型およびGALC欠損マウスを日齢8から35までメトホルミン(250 mg/kg/day)あるいはAICAR(600 mg/kg/day)を連日腹腔内注射し、体重測定、ビデオ・トラッキングシステムによる行動解析、組織病理学的解析を行い、非投与群と比較検討した。それぞれの化合物の投与群では、野生型およびGALC欠損マウス共に体重増加不良を認め、移動距離の有意な低下を認めた。また、メトホルミン投与GALC欠損マウスでは中枢神経系の脱髄病変が増悪する傾向にあったが、AICAR投与GALC欠損マウスでは改善している個体が観察された。 現時点では両化合物の治療効果は明らかではないが、定量解析によりメトホルミンあるいはAICAR投与GALC欠損マウスの脳組織でGalCer量の減少傾向が認められたため、投与条件等の改善の余地があると考えられる。
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