2019 Fiscal Year Annual Research Report
The elucidation of the cellular pathological mechanism of ZTTK syndrome, an intellectual disability, which is caused by SON haploinsufficiency
Project/Area Number |
17K16292
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
上田 昌史 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 細胞病態研究部, リサーチレジデント (90791541)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シナプス形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
ZTTK症候群は21番染色体に局在する遺伝子変異SON(21q22.11)のde novoヘテロ変異により生じる知的障害であり、これまでに国内外で31例の患者が報告されている。遺伝子変異から知的障害発症に至る機構は不明であるが、患者由来組織で変異箇所に関わらずSONのmRNAおよび蛋白質の発現量が低下していたことから、ZTTK症候群における知的障害の病態基盤としてSON変異によるハプロ不全が考えられた。また、神経画像検査により多くの患者で脳回異常などの脳形成不全が認められることから、SONハプロ不全が大脳皮質形成異常を引き起こす可能性が示唆されている。 今年度も、引き続き発達過程のマウス神経細胞におけるSONハプロ不全が大脳皮質形成に与える影響について解析を行った。本研究で得られた特異的抗SON抗体を用いて胎生15日目(E15)および生後60日(P60)のマウス脳神経細胞においてもSONが発現していることを確認した。前年度までの解析で示唆された、SONノックダウンによる大脳皮質神経細胞における樹状突起のスパイン形成の抑制(P60)は、正常型ヒトSONおよびRNA結合領域のみ欠損した疾患変異型ヒトSONの強制発現によりレスキューされた。一方でDNA結合領域を含む大部分の機能ドメインを欠損した疾患変異型ヒトSONの強制発現ではレスキューされなかった。以上の結果からSONはDNA結合領域依存的に発生期における大脳皮質形態形成、生後のシナプス形成に重要な役割を果たしていることが強く示唆される。 これまでの研究成果をまとめ、第49回北米神経科学学会でポスター発表し、現在論文投稿中である。
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