2018 Fiscal Year Research-status Report
早産児の低酸素性脳傷害とてんかん発症を防御する遺伝子群の解明
Project/Area Number |
17K16301
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鳥尾 倫子 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (00725864)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 早産児 / 低出生体重児 / てんかん |
Outline of Annual Research Achievements |
早産児は、低酸素性虚血性脳症(HIE)を併発するリスクが高い。HIEにともなう不可逆的な脳損傷は、脳性麻痺、知的障害、てんかんといった重篤な後遺症を残すが、損傷部位との相関や遺伝的要因の関与については十分に解明されていない。本研究では、てんかんを合併した早産児と非合併早産児を特徴づける(1)画像的指標および(2)遺伝的背景の差異を抽出することを目的とする。 平成29年度は、低出生体重で出生し、てんかんを発症した患者の抽出を行い、臨床像について検討した。MRI所見の特徴として、27例中13例で脳室周囲白質軟化症を合併していた。脳室周囲白質軟化症とてんかん発症との関連が特に高いことが示された。 平成30年度はてんかん発症に関連する遺伝学的背景について検討することを目的に、遺伝子解析を施行した。てんかん群9例について染色体CGHアレイ解析を施行した。複数箇所の欠失領域や重複領域が同定されたが、データベースを用いて病原性を判断したところ、有意と思われる欠失・重複はなかった。さらに、3例については、全エクソーム解析を行った。同定された遺伝子変異について、データベースをもとに病原性を検討したが、てんかんや知的障害に関連が高いとされている既知の遺伝子は含まれておらず、有意な結果は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね、予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子解析の結果の解釈については、まだ検討の余地があると考えている。解釈の再検討、あるいは、さらに症例を増やすことを考えている。
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Causes of Carryover |
来年度への繰越し額は、遺伝子解析の費用として使用する予定。
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