2020 Fiscal Year Annual Research Report
Genetic basis of hypoxic encephalopathy and epilepsy in preterm infants
Project/Area Number |
17K16301
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鳥尾 倫子 九州大学, 大学病院, 助教 (00725864)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 早産児 / 脳傷害 / てんかん / 遺伝学的背景 |
Outline of Annual Research Achievements |
早産児は、低酸素性虚血性脳症(HIE)を併発するリスクが高い。HIEにともなう不可逆的な脳損傷は、脳性麻痺、知的障害、てんかんといった重篤な後遺症を残すが、損傷部位との相関や遺伝的要因の関与については十分に解明されていない。本研究では、(1)早産児に合併するてんかんの臨床像を明らかにする、(2)てんかんの発症に関連する周産期リスク因子を同定する、(3)てんかんを合併した早産児を特徴づける遺伝的背景を抽出することを目的とした。 (1)当科を受診した出生体重1500g未満の児(VLBWIs)のうち、てんかんと診断された35人の臨床像について検討した。MRIデータは34人で得られ、27人に異常所見を認めた。焦点性てんかん群とInfantile spasm群との両者において、脳室周囲白質軟化症の合併率が高く、それぞれ44%および57%であった。 (2)発症に関連するリスク因子について、9歳まで観察可能であったVLBWIsに限定して解析を行った。対象者119人のうち、てんかんを発症したのは11人であった。てんかんに関連する因子は、在胎週数、出生体重、晩期循環不全、およびMRI異常であった。同一集団において、知的発達症、自閉スペクトラム症(ASD)および注意欠如・多動症(ADHD)の合併についても調査し、それぞれの発症に関するリスク因子を比較検討した。てんかんに関連するリスク因子は、知的発達症に関連する因子とすべて共通していた。一方で、ASD/ADHDの発症に関連する因子とは共通しなかった。 (3) てんかんを発症した12人において、染色体CGHアレイ解析を施行した。1人において、8p23.2領域の2.2Mbの重複が同定され、てんかんの発症に関与したと推測された。他、11人ではてんかんや知的障害に関連が高いとされているバリアントは同定されなかった。
|