2018 Fiscal Year Research-status Report
発達期白質障害モデルに対する豊かな環境飼育による小児期リハビリテーションの検討
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17K16303
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
上田 佳朋 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (30758420)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 低酸素虚血性白質障害 / 豊かな環境飼育 / 小児期リハビリテーション / 皮質内微小電気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
周産期脳虚血に伴う脳性麻痺の解決は急務であり、早産、脳虚血に伴う白質病変や大脳皮質の神経シナプス障害が関与すると考えられるが、その発症メカニズム・治療介入法については不明な点が多い。これまでに発達期白質障害(DWMI)モデルを確立し、大脳皮質の電気反応変化と神経シナプスの変化が下肢機能障害を惹起する可能性を示してきた。一方、豊かな環境飼育(EE)は、神経機能賦活・障害改善作用が知られ小児リハビリテーションの基礎実験系として有用なモデルである。本研究は、周産期低酸素虚血性白質障害(DWMI)モデルに対し、①豊かな環境飼育(EE)が運動機能障害を改善するか、②電気生理学的に神経シナプス機能を改善するか、③分子メカニズムとしてIGF-2 等の神経栄養因子が関与するか、を検討することを目的としている。 H30年度は、DWMIモデルラットをEE群(自発的リハビリテーション)と通常飼育群の2群に分け生後25日から70日までの5週間飼育し、35日および70日後の経時的な運動機能をオープンフィールド試験、棒上歩行試験、シリンダー試験等で評価した。その結果、生後35日の時点で運動機能が改善されること確認できた。 また経時的に皮質内微小電気刺激(ICMS)を行い、皮質マップ変化が正常化することを確認できた。さらに脳の形態的変化が正常群と同程度までに回復していることも確認できた。現在、論文作成を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
皮質内微小電気刺激(ICMS)を実施し既知のマップ変化が正常化することを確認できたが、ゴルジ染色により神経細胞の樹状突起が変化するかを確認するまでには至らなかったが、概ね予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
DWMIにおけるEEが、運動機能を正常化させること、またICMSによる皮質マップの正常化や形態的な変化(脳の体積)も正常化させることが明らかになったので、論文投稿の準備を始めた。 ゴルジ染色による樹状突起の変化がこれまでの我々のデータと比較しどのように変化しているかについて現在解析を進めている。さらに、これら変化におけるIGF-2の関与についても検討を進める必要があると考えている。
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Causes of Carryover |
無駄な経費の節約を考えながら実施し、他研究費と共通で使用可能な消耗品が多くあったこと等から、当初の予定より経費使用が少なかった。 次年度に繰り越し、引き続き無駄な経費の節約を考えながら、ゴルジ染色による樹状突起の変化を視野に入れ実施し、論文作成を進めていく予定である。
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Research Products
(5 results)