2021 Fiscal Year Research-status Report
新生児晩期循環不全の発症予測を目的とした関連遺伝子多型の解析
Project/Area Number |
17K16306
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
下澤 弘憲 自治医科大学, 医学部, 助教 (70570399)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ステロイドプロファイル / 遺伝子多型解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.遺伝子多型解析とステロイドプロファイル測定:ミトコンドリア輸送蛋白遺伝子を新生児晩期循環不全と関連する可能性がある遺伝子と推定しているが、先にステロイドプロファイルを測定し、結果を解析した後に遺伝子多型解析を行う候補遺伝子を再検討する方針とした。 2.ステロイドプロファイル測定:(対象)当院NICUで2017年12月1日から2021年8月5日までの期間に在胎22週0日以上在胎31週6日以下で出生した児のうち本研究に参加した78名を研究対象者とした。在胎31週0日以上在胎31週6日以下で出生した児は、新生児晩期循環不全を合併しない早産児として測定対象とした。サンプルは臍帯血、日齢7、日齢14、日齢28、退院前または修正40週時の血清を収集した。(方法)液体クロマトグラム・タンデムマス質量分析器を用いてステロイドプロファイルを測定した。(結果)総サンプル数は256だった。グルココルチコイド系においては、コルチゾールの前駆体である17ヒドロキシプレグネノロン、17ヒドロキシプロゲステロン、11デオキシコルチゾールの測定値は全て日齢7と日齢14では在胎週数と負の相関を認めた(p<0.001)。コルチゾールは日齢7では在胎週数との関連性はなかったが、日齢14では在胎週数が早い程高値だった(p=0.006)。基質と代謝産物の比率から酵素活性を算出したところ、3βHSD2は在胎週数と関連性はなく、21ヒドロキシラーゼと11βヒドロキシラーゼは両者とも在胎週数が早い程に活性が低下しており、それぞれ日齢28と日齢14には活性は改善した。 3.新生児晩期循環不全とステロイドプロファイルとの関連:出生後にステロイド治療を要した例は18例で、そのうち新生児晩期循環不全を発症したのは9例だった。在胎週数25週以上29週以下の群で比較検討したところ、有意差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1.症例数が減少しているため:新生児晩期循環不全の合併例が研究開始前と比較して減少しており、一方で生後1週間以内の難治性低血圧や慢性肺疾患に対するステロイド治療の件数が増加している。慢性肺疾患へのステロイド治療により、新生児晩期循環不全がマスクされている可能性がある。慢性肺疾患と副腎不全は関わっている部分があるため、サブ解析が必要である。 2.検体が不足しているため:ステロイドプロファイルのための採血は200~400μlだが、遺伝子解析用には1.5~2mlの全血が必要であり、ステロイドプロファイル用の採血よりも検体収集率が悪いため。 3.研究に費やす時間が少ないため:重症症例が多く、かつ医師が不足している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.候補遺伝子の遺伝子多型の解析:21ヒドロキシラーゼと11βヒドロキシラーゼとミトコンドリア膜輸送蛋白遺伝子多型との関連性を調査した後、TIMM50、TIMM21、TIMM23、TOMM22、TOMM40の遺伝子多型解析を開始する。 2.ステロイドプロファイルの解析:グルココルチコイド系と同時に測定している、ミネラルコルチコイド系および性腺コルチコイド系の解析を進める。 3.ステロイドプロファイルの測定継続:2021年8月5日以降に出生した児の血清検体も、サンプル数が揃い次第測定を開始する。
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Causes of Carryover |
理由:遺伝子多型解析が準備段階だったため。 使用計画:①遺伝子多型解析(約110万円):PCR実験は院内実験室で行い、シークエンスを外注する。②ステロイドプロファイル測定(約50万円)
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