2017 Fiscal Year Research-status Report
先天性中枢神経障害に対する母親の脂肪組織由来幹細胞を用いた胎児細胞移植療法の検討
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17K16311
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
川嶋 章弘 昭和大学, 医学部, 助教 (10783376)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脂肪組織由来幹細胞 / 胎児幹細胞治療 / 神経誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、本研究の目的の一つである脳内に投与後の脂肪組織由来幹細胞が生体内で神経分化されることを明らかにした。胎性14日にGFP陽性マウスより採取した脂肪組織由来幹細胞を左脳室内に投与した。投与した胎仔は、生後2週で脳梁を含めた左側大脳皮質内にGFP陽性細胞を認め、これらの細胞の一部は成熟神経細胞に分化していることを確認した。しかし一部が脂肪細胞に分化していることが疾患モデルマウスに投与する際の問題とされた。投与する幹細胞につき抗体染色によりPDGFRalfa+Sca1+Lineage-の細胞集団の中に大きさの異なった細胞集団が存在することに着目した。これらの集団を大きさでソーティングし細胞増殖能を確認したところFCShigh となる細胞集団では細胞増殖能が高くまたG2/M期の細胞が増えていることが示された。これらの細胞において次世代シーケンサーにより遺伝子発現を解析することで、FSChighでは細胞増殖に関連する遺伝子発現が増加しておりFSChighの集団ではより分化が進んだ状態であることが示唆された。平面培養、三次元培養において神経誘導を行うことで、神経細胞様の細胞を分化誘導可能であることも確認された。このFSChighの集団を用いて細胞移植を行い、優位に生着率の上昇することが確認された。また生着した細胞集団が神経細胞へ誘導されていることもin Vigo で確認された。全細胞を投与する際と同様に一部が脂肪に分化していることも確認された。これらのことから、脂肪組織由来幹細胞から類似の細胞集団を抽出し神経幹細胞に誘導後に投与する必要性が惹起した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の検討から、胎児脳室内への投与により幹細胞の生着が見込めることが明らかになった。脂肪組織由来幹細胞をFCSで分類する方法を用いることで、分化の程度が統一された細胞集団を回収し投与することが可能になった。脂肪組織由来幹細胞の神経分化を生体内でより効率的に誘導する方法を確立することで、疾患モデルマウスへの投与実験の生着率および神経誘導を高めていくための基礎を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
脂肪への分化抑制および生着率の改善を目指し、細胞の投与際の足場となるScaffoldの検討を今後行うことで生着率を高める。また脂肪分化への誘導を抑制するために、投与細胞につき神経前駆細胞に誘導してからの検討を行っている。
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Causes of Carryover |
遺伝子発現解析を外部委託で行うために、翌年度分と合算して支払う必要があったため生じた。その委託費用を次年度に使用予定である。
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Research Products
(2 results)