2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the mechanism of erythema formation via IgE autoantibodies in bullous pemphigoid
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17K16318
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
泉 健太郎 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (50793668)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 皮膚病態学 / 自己免疫 / 水疱症 / 水疱性類天疱瘡 / 基底膜タンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
水疱性類天疱瘡(BP)は高齢者に好発する最も頻度の高い自己免疫水疱症である。表皮基底細胞に発現し、真皮表皮接合を担う17型コラーゲン(COL17)を標的とする自己抗体により発症し、臨床的にそう痒を伴う緊満性水疱や浮腫性紅斑を呈するのが特徴的である。IgGクラス抗COL17自己抗体が水疱形成を誘導することは証明されているが、浮腫性紅斑の形成機序は未だ十分に明らかではない。本研究の目的は、BP-IgGのエピトープの違いあるいはBP-IgE自己抗体によって紅斑形成に至る機序を解明することである。
2年目の研究においては、BPの発症と主要な自己抗原であるCOL17のプロセシングとの相関について検討するために健常人皮膚およびBP患者皮膚を基質とし、COL17の種々のエピトープを認識する抗体を用いて免疫染色を行った。COL17の検出に際し、細胞内領域認識抗体(ab1864115)、細胞外領域に位置する主要な病原エピトープである非コラーゲンドメイン16A認識抗体(TS39-3)、同じく細胞外領域に位置するコラーゲンドメイン15認識抗体(No11)、コラーゲンドメイン12認識抗体(BMM)を用いた。健常人皮膚およびBP患者皮膚のいずれにおいても真皮表皮接合部に線状に分布するCOL17を全てのCOL17認識抗体にて検出した。BP患者皮膚に対し、真皮上層でのCOL17分布について検証したところ、ab1864115ではCOL17を検出し得なかった、しかし一部のBP患者皮膚ではTS39-3、No11、BMMでは真皮上層に円形に染色されるCOL17の分布を確認した。一方健常人皮膚においてはいずれの抗体においても真皮上層にCOL17の分布を疑う所見を認めなかった。以上より、BP患者皮膚と健常人皮膚においてCOL17の分布様式に差異がある可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
BP患者皮膚における17型コラーゲン(COL17)の分布と構造解析のため、COL17の細胞内領域、細胞外領域(NC16Aドメイン、コラーゲンドメイン15、コラーゲンドメイン12を用いた免疫染色にて真皮上層に分布するCOL17断片は細胞内領域のN末端を含まずNC16Aからコラーゲンドメイン12までを含む領域であることが推測された。しかし、真皮上層に分布するCOL17の構造をより詳細に理解するためには細胞外領域C末端に対する抗体を用いた解析が必要であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
コラーゲンドメイン4認識抗体(No26)などを用いて、真皮上層に局在するCOL17断端にC末側部分が含まれるか否かについての検討を行う。
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Causes of Carryover |
臨床的な紅斑の有無により水疱性類天疱瘡症例を2群に分類し、①自己抗体の標的となる17型コラーゲンのプロセッシ ングおよび局在②好塩基球上の抗17型コラーゲンIgE抗体の有無について解析を試みた。しかし、臨床的な紅斑が乏しい場合でも真皮内に多くの炎症細胞浸潤を認めることもあり、補助事業の目的を精緻に達成するために、組織学的にも 浸潤細胞の少ない皮膚サンプルを新たに収集し、解析する必要が生じた。より詳細な検証のための患者収集に時間・労力が必要となったことで、当初予定していたフローサイトメトリーにて単離した好塩基球をマウスに移入する実験の遂行が遅れてしまったため、次年度使用額が生じたものと考えられる。上記好塩基球移入実験を遂行するために次年度使用額を使用する予定である。
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