2017 Fiscal Year Research-status Report
メラノーマにおける抗PD-1抗体治療抵抗性に関わる分子の同定
Project/Area Number |
17K16335
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
大沼 毅紘 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (80793116)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 抗PD-1抗体 / B2M / MHC class I消失 / 再発 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗PD-1抗体に対する治療抵抗性のメカニズムを解明するために、抗PD-1抗体治療にて病巣がすべて一旦縮小した進行期メラノーマ1例において、(1)縮小を保っている病巣、(2)数年後に急激に増大した病巣、それぞれを切除した。それぞれの病巣の癌細胞の状況、浸潤リンパ球の状態や腫瘍反応性を比較した。縮小維持していた病巣は壊死組織とマクロファージで構成されており、メラノーマ細胞は残っていなかった。一方、増大、悪化した病巣は壊死組織、メラノーマ細胞、浸潤リンパ球より構成されていた。それぞれの浸潤T細胞の状態を比較すると、PD-1, TIGIT, LAG3などの発現レベルは同等であった。悪化病巣よりメラノーマ細胞株と浸潤T細胞の株を樹立した。これらをin vitroで共培養すると、T細胞株の活性化や癌細胞の殺傷はほとんど見られなかった。腫瘍細胞を調べると細胞表面のMHC class Iの発現が無く、その原因としてB2M遺伝子の発現異常が起きている事が明らかになった。レトロウイルスを用いて再発病巣のMHC class I発現を復活させると、浸潤T細胞株による強い認識、殺傷がみられた。以上より、このケースでは癌細胞がB2M遺伝子異常によってMHC class Iを消失することで、抗PD-1抗体への治療抵抗性を獲得していることが明らかとなった。現在、共同研究を行っている研究施設により、再発病巣の腫瘍のエクソームシーケンスを行う準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた実験のほとんどは達成した。未達成の実験は以下の通りである。再発病巣におけるB2M遺伝子異常のメカニズムを解明しつつ、他の遺伝子異常を検出するためのエクソームシーケンスは現在、進行中である。また現在、再発病巣の浸潤T細胞から複数の腫瘍特異的CTLクローンを樹立しつつある。今後すぐに、それぞれのT細胞受容体clonotypeを決定し、それをもとに腫瘍特異的CTLのin vivo(腫瘍消化液内)や末梢血内での状態を調べる。
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Strategy for Future Research Activity |
メラノーマにおける抗PD-1抗体の治療抵抗性を克服するために、本年度に樹立した悪化病巣由来のメラノーマ細胞株におけるB2M以外の治療抵抗性に関与する因子を、GeneChipやエクソームシーケンスによって明らかにする。さらに腫瘍特異的浸潤T細胞クローンを樹立してそのT細胞受容体clonotypeを明らかにし、それを目印に悪化病巣における腫瘍特異的CTLの状態をsingle cell sequencingなどで評価する実験は、共同研究施設とともに進行中である。今後はB2M以外の悪化因子を同定して、その機能評価と阻害方法の検討に向けたin vitro, in vivo実験を実施してゆく。さらに他の症例由来の検体解析も行う。
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Causes of Carryover |
平成29年度は予定よりも患者検体数が少なかったため、それの解析分を次年度に回す形となった
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Research Products
(2 results)