2017 Fiscal Year Research-status Report
悪性黒色腫のエピゲノム解析および免疫治療におけるバイオマーカーの検討
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17K16339
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤原 進 神戸大学, 医学研究科, 助教 (40645389)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 悪性黒色腫 / メチル化 / 免疫染色 / 鑑別マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに悪性黒色腫の発症に関連する遺伝子がいくつか報告されているが、最近では、エピジェネティックな変化の発がんへの関与が注目されている。これまでにも悪性黒色腫のメチル化の解析については行われているが、最も重要と考えられる同一個体由来の正常色素細胞と黒色腫細胞との比較はほとんど行われていない。それは高齢患者から解析に必要な正常色素細胞量を分離することが困難なためと考えられる。 申請者は中~高齢患者からでも、まとまった数の正常色素細胞を分離して得る手法について試行錯誤を重ねた結果、比較的高確率に解析に必要な十分量の正常色素細胞を分離する方法を確立した。この手法を用いて現在までに4例の高齢悪性黒色腫患者から正常色素細胞を十分量得ることに成功し、同患者の悪性黒色腫細胞との網羅的なメチル化状態の比較検討を行った結果、他報告では認められなかった特徴的なメチル化状態の遺伝子を複数認めている。同時に行ったマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析を加え、悪性黒色腫において特に高いメチル化を示し、mRNAの発現が低下する遺伝子を候補遺伝子としてピックアップした。 候補遺伝子について臨床標本を用いて免疫染色を行い、実際に悪性黒色腫と正常色素細胞の染色性に差を示す遺伝子を発見した。real time RT-PCRでも悪性黒色腫において発現が低下することが確認された。 今後は臨床標本の検体を用いて臨床応用が可能であるのかどうか、診断における鑑別マーカーとしての可能性を探求していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エフォートを35%とし計画を行ったが、医師臨床業務の増加など当初予期していなかった業務が多数発生し、エフォート率が低下する事態となった。そのため計画した研究が遂行出来ていない部分もある。しかし、行い得た研究に関してはほぼ順調に経過しており、今後につながる結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況は遅れている状態ではあるが、予期せぬ陰性の結果は得られておらず、エフォートを維持しつつ、予定通りの計画で研究を推進していく予定である。 具体的には上述した候補遺伝子について、より多数の臨床標本の免疫染色を追加していくこと、正常および黒色腫細胞における遺伝子発現状況をウェスタンブロットおよびreal time PCRを用いて解析を行い、実臨床における鑑別マーカーとし得るのかどうかの検討を進めていく予定である。
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