2018 Fiscal Year Research-status Report
慢性特発性蕁麻疹における皮膚マスト細胞のMrgX2発現上昇の機序の解明
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17K16354
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤澤 大輔 日本大学, 医学部, 兼任講師 (70793644)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マスト細胞 / MrgX2 / substance P / 慢性蕁麻疹 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚マスト細胞にマスト細胞が産生するGroup Ⅲ phospholipase A2 (PLA2G3)が線維芽細胞のL-type prostaglandin D2合成酵素(L-PGDS)と結合し活性化させPGD2を産生させる。このPGD2がマスト細胞表面のPGD2受容体 (DP1) に作用する。また線維芽細胞の表面の発現している膜型stem cell factor(SCF)がマスト細胞のKITに作用する。これによってマスト細胞は成熟する。 そこでヒト皮膚マスト細胞を皮膚線維芽細胞と4~7日間共培養し、成熟のマーカーとして、Hdc(histamine decarboxylase,ヒスタミン合成酵素)、Ptgds2(hematopoietic PGD2 synthase)、Cmal(cymase,結合織マスト細胞に発現しているプロテアーゼ)Mrgx1およびMrgX2の蛋白レベルを指標にmRNAレベル(4日間培養)とMrgx2の蛋白レベル(7日間培養)を共培養なしの細胞と比較した。予定していたDNA chipで網羅的発現解析を行う予定であった。 皮膚線維芽細胞を新たに培養し、Mrgx2の発現に関して末梢血中マスト細胞を皮膚線維芽細胞と共培養したところフローサイトメトリーで有意にMrgX2の発現の上昇が末梢血マスト細胞に比べ確認された。抗PLA2G3阻止抗体、DP1拮抗薬およびL-PGDS抑制薬を用いてPGD2の関与を検討は施行できなかった。またIL-31とTSLPで皮膚マスト細胞刺激をする成熟に関与するかをみたが前年度同様の結果であった。 Mrgx2の発現増強によってsubstance P刺激後の脱顆粒能、サイトカインの産生、脂質メディエーターの産生が増強するか調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ケラチノサイトから放出されるIL-31とTSLPでヒト由来の皮膚マスト細胞を刺激し成熟しMrgX2のマスト細胞上の発現を見たところ、マウス由来マスト細胞と異なり仮説ではあるが、ヒト皮膚由来のマスト細胞では刺激が入らない可能性が示唆された。 皮膚線維芽細胞とヒト末梢血由来マスト細胞の共培養を行ったところ、フローサイトメトリーではMrgx2の発現上昇が明らかとなった。前年度はフローサイトメトリー時にマスト細胞のMrgX2の染色と測定に線維芽細胞が混入し何らかの影響を与えていることを想定していたが、技術的に線維芽細胞が混入せず施行できたため仮説通りの結果が出ている。 今後はn数を増やすよう工夫し研究する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト皮膚マスト細胞とヒト皮膚線維芽細胞との共培養を共培養なしのものと比較しDNA chipで網羅的発現解析を行う。 フローサイトメトリーではヒト皮膚由来線維芽細胞とヒト臍帯血由来マスト細胞を分離する場合、二重染色で施行したが、今後トリプターゼで細胞を全て遊離させた後、洗浄しフラスコ内のmediumに戻しヒト皮膚由来線維芽細胞のみ接着させ、ヒト臍帯血由来のマスト細胞を上清から抽出。成熟のマーカーとしての、Hdc(histamine decarboxylase,ヒスタミン合成酵素)、Ptgds2(hematopoietic PGD2 synthase)、Cmal(cymase,結合織マスト細胞に発現しているプロテアーゼ)を指標としMrgx2の発現を評価する。 また様々なヒト由来マスト細胞でMrgX2のマスト細胞上の発現を確認するため、ヒト皮膚マスト細胞の培養など得ることを考え、植皮術だけでなく、ヒフ腫瘍摘出術などでの腫瘍断片の余剰皮膚などがあれば承諾を得てヒト皮膚マスト細胞の培養に使用しn数を増やす。
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Causes of Carryover |
DNA chipで網羅的発現解析を行う予定であったが線維芽細胞の変性により施行できなかった。炎症を模倣するためTNF-α処理をした皮膚線維芽細胞の使用予定は今後も続行予定である。Mrgx2の発現に関してフローサイトメトリーで有意な結果がでたため、抗PLA2G3阻止抗体、DP1拮抗薬およびL-PGDS抑制薬を用いてPGD2の関与を検討は施行できていないため試薬の購入などに使用する予定である。またIL-31とTSLPで皮膚マスト細胞刺激をする成熟に関与するかをみたがこちらは他試薬で検討する予定である。 Mrgx2の発現増強によってはsubstance P刺激後の脱顆粒能、サイトカインの産生、脂質メディエーターの産生が増強するか調べる予定である。Hdc(histamine decarboxylase,ヒスタミン合成酵素)やPtgds2(hematopoietic PGD2 synthase)、Cmal(cymase,結合織マスト細胞に発現しているプロテアーゼ)など抗体購入が今年度購入できなかったため次年度使用額が生じた。
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