2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K16364
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木村 大 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任講師 (10646409)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ドパミン過感受性 / 介在ニューロン / パルバルブミン / ステレオロジー / オリゴデンドロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症の主要な治療法である抗精神病薬の使用が過剰なドパミンシグナル伝達を引き起こす結果、ドパミン過感受性精神病(Dopamine supersensitivity psychosis: DSP)が発症すると考えられている。その過剰なドパミンシグナル伝達を引き起こす要因として、海馬特に腹側海馬支脚の介在ニューロンのドパミン放出制御の障害が関与していると考えている。今年度は高用量または至適用量の抗精神病薬を2週間持続したDSPモデルラットと至適用量投与ラットを作製することができた。その海馬から切片を作成し、Nissl染色、Parvalbuminを発現する介在ニューロンを検出するために免疫組織化学染色を行った。 Nissl染色を用いて、海馬とその下位領域の体積測定を行なっている。また同染色を用いて、海馬下位領域である歯状回の顆粒細胞層における神経細胞数をStereologyの手法を用いて定量解析する計画であるが、個々の細胞を十分に認識できるだけの染色ができていないため実験過程を再検討している。 Parvalbumin抗体を用いた免疫組織化学染色では、正確に定量解析を行うだけのParvalbuminを発現する介在ニューロンの染色を確認できたため、Stereologyを用いた定量解析を行うための準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度の研究計画は、DSPモデルラットを作製し、海馬全体とその下位領域の体積を測定することと、同部位の神経細胞と介在ニューロン数とオリゴデンドロサイト数を定量解析することである。DSPモデルラットを作製し、海馬から切片作製をすることは完遂しているが、十分に細胞数を評価できるだけの免疫染色が行われていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究計画は、高用量または至適用量の抗精神病薬を2週間持続し作製したDSPモデルラットと至適用量投与ラットの海馬全体とその下位領域の体積を測定する。さらに神経細胞数、オリゴデンドロサイト数、Parvalbuminを発現する介在ニューロン数を定量解析する。また、ウェスタンブロッティングで測定する。 上記の実験過程に習って、DSPモデルラットと至適用量投与ラットを1週間の断薬期間をもうけ、海馬全体とその下位領域の体積を測定する。また断薬期間を設けたラットの神経細胞数、オリゴデンドロサイト数、介在ニューロン数を定量解析する。
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Causes of Carryover |
平成29年度の研究は、モデルマウスの作製、免疫染色、Stereologyを用いた染色された細胞の定量測定を予定していた。次年度使用額が生じた理由として、平成29年度実施予定であったStereologyを用いた定量測定まで行うことができなかったことが挙げられる。長期間・高用量の抗精神病薬が、海馬でのドパミンシグナル放出制御を担っている細胞数の異常に関与している可能性を調べるためにはStereologyを用いた定量解析が有用であると考えている。次年度は平成29年度に施行できなかった定量解析を行う。
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