2017 Fiscal Year Research-status Report
ストレス脆弱性モデルマウスを用いたマイクロRNAのうつ病態に対する役割の解析
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17K16380
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
樋口 文宏 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60711249)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ストレス / うつ / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、ストレス感受性を規定するマイクロRNAの網羅的探索を行った。慢性軽度ストレス負荷に対して適応反応を示すC57BL/6J (B6)マウスと、不適応反応を示してうつ状態に陥るBALB/c (BALB)マウスを用いた。ストレス負荷後のBALBマウスは社交性試験におけるインタラクション時間の有意な低下を示し、相手マウスに対する興味が減退していることが伺え、うつモデルとしての有用性が示唆されていた。一方、B6マウスはストレス負荷によるインタラクション時間の低下を認めず、ストレスに対してレジリエントな系統であることを確認した。 これら2系統のマウスに慢性ストレスを負荷し、内側前頭前野領域から全RNAを抽出した。その後次世代シークエンス解析(RNA-seq)に供し、ストレスレジリエンスとうつ状態のマウスにおいて発現変動を示すマイクロRNAの網羅的探索を行った。その結果、各ストレス反応群に特徴的なマイクロRNAを抽出することができた。これら発現変動を示したマイクロRNAについては、リアルタイムPCR法を用いてもその発現変動を確認することができた。 次に、ストレス負荷後のうつ様行動指標(相手マウスに対する興味の度合い)と発現量に有意な相関の認められるマイクロRNAの抽出を試みた。その結果、4つのマイクロRNAについて、行動との有意な相関を示すことを見出した。さらに、この4つのマイクロRNAの標的遺伝子をデータベース検索したところ、神経可塑性に関わる遺伝子が多数存在することも判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、1)モデルマウスの作成、2)網羅的遺伝子発現解析、3)行動と相関するマイクロRNAの抽出、といった目的を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、行動と発現量に相関のあった4つのマイクロRNAについて、ウイルスベクターを用いた過剰発現マウスを作製し、ストレス対処緒行動を評価する。また、これらマイクロRNAの神経可塑性に対する役割を評価するために、マイクロRNA過剰発現マウスにおける神経細胞の形態学的評価を行う。
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Causes of Carryover |
RNA-seq解析において、当初の見積り額より安価に解析可能であることが判明したため。一方で、候補マイクロRNAの数は予想より多く見出されたため、未使用額分は平成30年度のウイルス作製費用に充てる。
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Research Products
(1 results)