2018 Fiscal Year Annual Research Report
Multiple analysis of microglia-derived BDNF in post-traumatic stress disorder
Project/Area Number |
17K16395
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
井川 大輔 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (00526717)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マイクログリア / BDNF / 心的外傷後ストレス障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクログリア由来のBDNF発現を低下させるとすくみ反応が低下することら、マイクログリア由来BDNFが恐怖記憶消去の障害に関与しているという仮説をたてた。 iba1陽性マイクログリアのみでBDNFの過剰発現を引き起こす遺伝子改変マウスを用いて、fear condition並びにextinction試験を行ったが、コントロールマウスと比較して有意な差がみられなかった。 以前より解析を進めている幼若期隔離マウスは、すくみ反応が長時間続くことが報告されており、本マウスから抽出したマイクログリアは通常飼育マウスのそれに比べてBDNFの発現が高いことを我々は見出した。幼若期社会的隔離マウスと通常飼育マウスのfear condition並びにextinction試験では、ともに有意な差を認めなかった。 このため、PTSD患者でも異常が報告されている感覚-運動ゲーティング機構を評価するため、幼若期社会的隔離マウスを用いてPrepulse Inhibitionを評価した。通常飼育群と比較して幼若期社会的隔離マウス群では、69dBのprepulse刺激時にPrepulse Inhibitionの障害を認めた。 幼少期社会的隔離がマイクログリアのBDNF発現やPrepulse Inhibitionの障害に関与しているのか調査するため、隔離時期をずらした青年期社会的隔離マウスを用いた。青年期社会的隔離マウスは通常飼育群とBDNF発現やPrepulse Inhibitionと有意差を認めなかった。 本研究結果は、環境因子としての社会的隔離がマイクログリア機能ならびに感覚-運動ゲーティング機構へ与える影響には、クリティカルピリオドが存在する、可能性を示した。
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