2017 Fiscal Year Research-status Report
インターロイキン6遮断薬を使用した癌細胞の放射線感受性の調節
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17K16413
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
嵯峨 涼 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (50794145)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射線抵抗性 / 癌幹細胞 / 炎症性サイトカイン / 4-メチルウンベリフェロン |
Outline of Annual Research Achievements |
X線分割照射による放射線抵抗性細胞の樹立 前立腺癌細胞(PC-3、DU145、LNCaP)に対し、複数の照射スケジュールでX線分割照射を行った。DU145において1回4Gyで16回照射したところ(総線量56Gy)、照射していないDU145(以下、親細胞)と比較して、放射線に対する生存率が有意に上昇した。よって、放射線抵抗性を獲得したDU145(以下、抵抗性細胞)に対し、癌幹細胞様特性を検証した。癌幹細胞マーカーとして知られている表面抗原(CD44、CD133、CD138)の発現は親細胞と比べて有意に上昇した。また、多能性関連遺伝子であるOCT4及びNANOGの発現も上昇する傾向がみられたため、抵抗性細胞は癌幹細胞様特性を獲得していることが示唆された。 IL-6遮断による放射線感受性の検討 線維肉腫細胞であるHT1080に対し、2Gy X線照射を行った際に炎症性サイトカインであるIL-6のmRNA発現及び培養上清濃度が上昇した。一方で、4-メチルウンベリフェロン(以下、4-MU)存在下では抑制されたことから、IL-6を含む炎症の抑制剤として4-MUを使用することにした。網羅的なmRNA発現解析を行ったところ、4-MU存在下では、炎症に関わるシグナル伝達経路が抑制される傾向がみられた。また、HT1080に対する500μMの4-MUと1-6Gy X線照射併用による生存率の有意な減少がコロニーアッセイで確認できており、炎症抑制による放射線感受性の向上が示唆されている。今後は、抵抗性細胞の炎症性サイトカインの発現を調べるとともに、炎症を抑制した際の影響について検証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分割照射による放射線抵抗性細胞を樹立及び癌幹細胞様特性の検証が達成できた。また、IL-6を含む炎症抑制による放射線感受性の評価まで進展できたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、IL-6遮断にトシリズマブを使用する予定だったが、in vitro研究の段階では、IL-6受容体抗体またはsiRNAの導入により行うことにした。今後は、研究計画通りにIL-6を特異的に遮断した際の、放射線感受性に対する影響を検証していく。
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Research Products
(3 results)