2018 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism of PD-L1 upregulation in cancer cells after DNA double-strand break repair pathway following irradiation
Project/Area Number |
17K16420
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 浩央 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (90750571)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 免疫チェックポイント / DNA二本鎖切断 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数のがん細胞株に対するX線照射や化学療法剤処理により、ATM-ATR/Chk1依存的DNA損傷シグナルを介し、腫瘍細胞のPD-L1発現が誘導されることを明らかにした。さらに、このPD-L1発現誘導は、DNA二本鎖切断(DSB)修復において重要である、Ku80またはBRCA2をノックダウンすることで増強された。重要なことに、このKu80またはBRCA2のノックダウン細胞におけるDNA損傷依存的PD-L1発現誘導にも、DNA損傷シグナルであるChk1活性化が重要な役割を担っていることが分かった。以上から、X線照射後のPD-L1発現誘導には、Chk1の活性化を含むDNA損傷に対する一連の反応が重要であることが明らかになった。加えて、DNA二重鎖切断によるPD-L1発現誘導にも、従来からPD-L1発現経路として知られていたSTAT1/3-IRF1経路が関与していることを明らかにした。以上の実験結果から、放射線や化学療法剤処理によるDSBそのものではなく、ATR/Chk1といったDNA損傷シグナルの活性化こそが、PD-L1発現調整において重要であることが示された。 腫瘍細胞のPD-L1発現は、免疫チェックポイント阻害剤である抗PD-1/PD-L1抗体治療の効果良好因子の一つとして考えられている。本研究にて腫瘍細胞のPD-L1発現に影響するDNA修復遺伝子を明らかにしたことで、患者一人ひとりのDNA修復関連遺伝子の変異状況の評価により、放射線治療や化学療法と抗PD-1/PD-L1抗体を併用する場合の効果予測につながり、患者の個人レベルでの治療効果の改善に貢献できる可能性を有していると考える。
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Research Products
(8 results)