2017 Fiscal Year Research-status Report
Research of anti-tumor effect at non-treated site by carbon-ion radiotherapy combined with immunotherapy
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17K16423
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
馬 立秋 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 研究員 (70711539)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 重粒子線 / 免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
重粒子線局所照射による抗腫瘍免疫能を評価するため、扁平上皮癌NR-S1細胞をC3H/Heマウス後肢に接種し、7日後に局所腫瘍での炭素線(290 MeV/u、6 cm SOBP中心)照射による誘導された免疫細胞サイトカインの変動、腫瘍局所の免疫原性細胞死及び免疫チェックポイント制御因子の変動を解析した。その結果、重粒子線照射による免疫細胞から分泌されるサイトカインIL-12が線量に依存して上昇した。免疫原性細胞死は照射1日後から、腫瘍細胞の膜表面のcalreticulin (CALR)は発現亢進していた。一方、マウス血清中のHMGB1濃度は照射2日後、急に87 ng/mLに上昇し、その後照射前の状態に戻った。免疫チェックポイント制御因子PD-L1は照射2日目から高発現が認められた。これらの結果から、重粒子線照射後、免疫細胞が活性化して、生体内腫瘍での免疫原性細胞死が先に誘導され、その後免疫応答を制御するPD-L1分子が亢進することが認められた。これらのことから、樹状細胞と免疫原性細胞死誘導剤との併用は照射2日後よりも前に、免疫チェックポイント阻害剤との併用は照射2日前後が最適の投与タイミングであることが示唆された。 以上の結果を基ついて、重粒子線治療のさらなる効果向上を目指し、免疫チェックポイント阻害剤(抗CTLA4抗体)との併用による遠隔非照射腫瘍、肺転移での抗腫瘍効果について検討した。同系マウス由来の腫瘍の両後肢移植モデルを使用し、7日後に形成した片側後肢の腫瘍に炭素線を照射した。照射1日後から、週2回、全4回免疫チェックポイント阻害剤(抗CTLA抗体)を200 μg腹腔経由投与し、週3回両後肢の腫瘍径を測定した。照射3週間後、肺への転移数を解析した。その結果、重粒子線と抗CTLA4抗体との併用は、遠隔非照射腫瘍での増殖抑制が認められなかったが、肺での抗転移効果を増感した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では申請書で記載された平成29年度の研究計画の通り進んでいる。 目的の達成について下記のように記載された。 (1) 重粒子線局所照射による抗腫瘍免疫環境について、免疫細胞活性化に関与するサイトカイン、腫瘍局所の免疫原性細胞死及び免疫チェックポイント制御因子を指標として、検討を行った。 (2) 重粒子線と免疫療法の併用効果について、抗CTLA4抗体との併用による遠隔非照射腫瘍、肺転移での抗腫瘍効果について検討した。 第56回国際粒子線治療会議(PTCOG56)、第23回癌治療増感研究会及び第20回菅原・大西記念 癌治療増感シンポジウム in 奈良で本研究の成果を公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に則って研究を推進し、平成29年度までの研究内容を一層深めつつ、さまざまな免疫療法の併用効果及び併用療法について線質(X線 vs 重粒子線)効果の検討を行う予定である。最終年度(平成30年度)には第57回国際粒子線治療会議(PTCOG57)と日本放射線影響学会第61回大会で発表し、研究成果を論文化にする。
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Research Products
(3 results)