2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of a novel bio-degradable fiducial marker for radiation therapy
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17K16438
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
王 天縁 神戸大学, 医学部附属病院, 特命技術員 (90757288)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 治療マーカー / 生体吸収性 |
Outline of Annual Research Achievements |
体内埋め込み型マーカーを用いた体幹部高精度定位放射線治療は、外科手術で切除困難や放射線抵抗性の難治癌に活路を見出し、低侵襲に治癒線量を照射することが実現でき、これまで適応がなかった疾患に対して適応拡大が期待される。一方で、高精度治療の中でコア要素である従来汎用の治療マーカーは、画像アーティファクトが原因で治療計画・再発診断に困難にされている。本申請は、生体吸収性金属を用いた独創的な放射線治療マーカーの研究開発を、医工連携共同研究の中から初めて発案し、従来汎用の金マーカー治療における臨床上の難題であった、アーティファクトやコストの問題がすべて解決可能となり、また、患者・医療機関の負担を減少させることから、臨床実用化された際のインパクトは大きい。研究計画として、まず適切な吸収性金属素材を神戸大学工学部と共同研究の中で検討し、また生体への副作用を調べるための動物実験を行い、臨床応用に向けた研究開発を遂行する。次に,臨床治療装置での視認性及びアーティファクトの評価。高精度定位放射線治療における様々な画像モダリティで動態追跡可能な視認性を有し、物理特性による画像アーティファクト抑制効果を有するものを目指す。また、生体内における吸収性合金マーカーの分解吸収率の検討し、治療期間中に視認性が十分に確保できる適切な分解率を備える。生吸収性合金マーカーの局所的、かつ全身的な生物学的安全性を評価を調べる。本研究開発は臨床応用、社会保障費削減に貢献するのみならず、高精度がん治療における、体内埋植医療機器(医療機器分類では最難関のクラスIVの分類となる)のコア技術となり、我が国の医療機器産業の発展に大きく貢献する可能性が十分にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床治療装置での視認性・アーチファクトの評価:治療計画用CT、治療機リニアック、定位照射機サイバーナイフ等の最先端治療診断機器に装着された画像誘導装置を使用し、人体密度・組成に近い模型を用いた生体吸収性マーカーの視認性評価(スコアーニング目視評価)およびアーチファクト評価(アーチファクトインデックス)を実施した。視認性評価のための自製作ファントムの図面設計および製作の実施計画の策定を行った。ファントム装置に留置するためにポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)を用いたケースを作成し、水密度透過物質を入れ、その中にマーカーを留置し、ファントム内に設置した。人体組成に近い組織密度模型の中心部に自作ファントムのみを留置した際のCT画像を撮影し、アーチファクトの初期評価を行った。自作性ファントムを用いて、既に販売されている金マーカー(VISICOIL)、および亜鉛マーカーの視認性を評価した。その結果、CT装置において亜鉛マーカーの視認性を確認し、金マーカーで見られる、アーチファクトが無く、我々の亜鉛マーカーのアーチファクト低減効果が非常に優れている良好な視認性がえられた。自製作ファントムを用いた各イメージング装置(CT装置)における視認性・アーチファクト初期評価の実施計画の策定が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
生体内における吸収性合金マーカーの分解吸収率の検討と、生体吸収性合金マーカーの局所的、かつ全身的な生物学的安全性の評価を実施する予定。現在、動物実験用亜鉛マーカーを自製作し、金マーカー、滅菌処理、動物実験用ラットを発注するとともに管理等についての実施計画及びマーカーの留置実験実施計画を策定し、マーカーを埋植したラットの経時観察を開始した。本研究終了時には臨床仕様が決定し、製品試作品が完成され、GLP準拠前臨床試験のエビデンスを得ている段階であり、事業化に向けたPMDA薬事戦略相談につなげるための物理化学的有効性・安全性および生物学的有効性・安全性に関するエビデンスの獲得を目指す。
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Causes of Carryover |
30年度に試作品を用いた動物実験の実施を行うにあたり、予定より多額の費用が必要と算出したため。
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