2017 Fiscal Year Research-status Report
食道癌放射線療法における放射線感受性を加味した正常臓器耐容線量評価法の開発
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17K16447
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西淵 いくの 広島大学, 病院(医), 助教 (70595834)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 食道癌 / 化学放射線療法 / 放射線感受性 / DNA損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
食道癌に対する化学放射線療法は、食道温存が可能であるという手術にはない極めて明瞭なメリットを持つ。一方、放射線療法による毒性の低減は重要な課題である。従来、放射線治療による有害事象の予測には、線量体積ヒストグラムに基づいた物理学的因子による検討が行われてきた。一方で、最近、個々の患者のDNA修復能や放射線感受性も有害事象の発症に影響を及ぼすことが明らかとなってきた。しかしながら、その多くは患者リンパ球に照射を行い、間接的にその影響を評価しているのみである。また、放射線感受性のみに着目しており、物理学的線量指標(照射体積や照射線量)との相関を評価した報告はない。本研究では、各患者における正常臓器の線量体積ヒストグラムと放射線感受性を評価することにより、物理学的因子と生物学的因子を組み合わせた正常臓器の耐容線量評価法の開発することを目的としている。 今回、放射線感受性およびDNA修復能評価法として、①FISH法による照射後の染色体異常の経時的変化、②免疫染色法によるガンマH2AXフォーカスの経時的変化を用いている。放射線治療開始前、初回放射線治療後、20Gy照射後、40Gy照射後、放射線治療終了日、放射線治療終了2週間後、放射線治療終了1ヵ月後の患者血液を採取し、そこから得られた抹消血液リンパ球を用いて各々の解析を行っている。併せて、急性期有害事象の評価および線量体積ヒストグラムにより各臓器(食道、心臓、心膜、肺、胸膜、甲状腺)の照射線量の評価を行っている。 現在、各種データの解析中であり、引き続きデータの集積を行っていく。今後、晩期有害事象の評価も行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
IRB承認がH29年9月下旬となったため、症例登録開始がH29年10月下旬と当初の予定より少し遅れた。また、H30年1月以降の食道癌患者の紹介数が過去5年間の診療実績と比較し少なかったため、初年度の予定症例数を若干下回っている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き症例集積に努める。現在、リンパ節転移のない症例のみを対象としているが、症例集積が不良であれば、リンパ節転移を有する症例も対象とすることを考慮する。 また、骨髄抑制を来している際にはリンパ球の回収が困難な場合が見受けられたため、放射線治療期間中の採血スケジュールの変更が必要かを検討する。
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Causes of Carryover |
本年度は、症例集積開始したばかりで、学会発表や情報収集を行う機会がなかった。 次年度は、情報収集や研究成果報告を行う予定としており、その旅費として計上する予定である。また、データ容量が大きく、個人情報管理の点からもコンピュータの追加購入が必要であると考えている。
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