2017 Fiscal Year Research-status Report
MRIによる慢性血栓塞栓性肺高血圧症の非侵襲的評価法の確立と左右肺血流特性の解明
Project/Area Number |
17K16452
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山崎 誘三 九州大学, 医学研究院, 助教 (00643347)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 慢性血栓塞栓性肺高血圧症 / バルーン肺動脈形成術 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主に症例の蓄積、解析に当たった。九州大学病院循環器内科で慢性血栓塞栓性肺高血圧(CTEPH)と診断され、心機能評価のため心臓 MRI が必要と判断された患者群に対し、3 テスラー装置で心臓専用コイルとマルチトラスミット技術を装備した最新の MRI装置を用いて撮影を行っている。MRI画像から右心室機能(拡張末期容積、収縮末期容積、拍出量、駆出率)、主肺動脈および左右肺動脈血流(酸素投与前後)などの計測解析を行っている。また、sub解析として、新たなアイデアとしてMRIの血流情報とカテーテルの圧情報を組み合わせることで左右肺動脈血管抵抗を算出し、バルーン肺動脈形成術(BPA)治療前後での比較を行った。具体的にはMRIは左右肺動脈血流を個々に測定できる唯一のモダリティであり、ほぼ同時期に行われた右心カテーテルでの平均肺動脈圧、左房圧(肺動脈楔入圧)を使うことで、左右肺血管抵抗を算出できる。BPAを片側肺のみに施行し、両側肺血管抵抗の変化を評価することで、BPAが治療側の肺血管に与えた影響にみならず、非治療側肺血管に与える影響も評価可能である。その結果、BPAでは治療をしていない肺血管でも血管抵抗が下がることを明らかにし、共著者としてEuroIntervention誌に投稿、採択された。CTEPHでは塞栓のない血管床でも血管抵抗が上昇し、それが治療によって改善しているということが言える。CTEPHの左右肺血管特性の一つを解明したと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CTEPHでは塞栓のない血管床でも血管抵抗が上昇しているということがわかり、左右肺血管特性の一つを解明できたと考えられる。本事実は臨床的意義が非常に高く、概ね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
さらなる症例の蓄積を行い、MRI単独から得られる血流情報解析や心房・心室解析によって、非侵襲的な評価法として確立することを目指す。現在進行中の検討では、右心房の機能が大きな役割を果たしている可能性に着目し、strain法を用いた右心房の解析を追加しており、CTEPH診療における新たな指標となり得ることが期待される。
|
Causes of Carryover |
心臓MRIの解析ソフトウエアの開発費が予定より安価になったため。 心臓MRIの解析ソフトウエアのバージョンアップや学会誌への投稿費用、学会発表時の旅費等に使う予定。
|