2017 Fiscal Year Research-status Report
FDG-PET/CTによる大動脈動脈硬化の定量的評価法の確立
Project/Area Number |
17K16456
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
井手口 怜子 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (10457567)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 18F-FDP PET/CT / 血管炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
18F-FDG-PET/CTを撮像した患者のうち、既往・現病に血管炎を有する症例及び血管炎の精査目的に撮像された症例を検討対象患者群として選択した。 H29年度は症例の選択と画像所見及び臨床的・生化学的所見の解析を行った。H29年度に行われたFDG PET/CT症例のうち、既往・現病に血管炎を有する症例ないし血管炎精査目的で撮像され、解析が可能であったのは10例であった。症例の内訳は男性2名、女性8名、年齢21~73歳、平均年齢50.2歳であった。 画像解析としては、上行大動脈、大動脈弓部、下行大動脈、腹部大動脈、大腿動脈、頸動脈の各部位におけるFDGの集積を肝の集積と比較し、定性的に解析した。臨床的・生化学的所見として、血管炎の活動性を表すCRPや白血球数、貧血の有無を調査し、集積の程度との関係を検討した。さらにCTやMRIなど他の画像を撮像している場合は、それらとの比較も行った。 10例中、炎症所見を認めなかった3例はいずれも血管の集積が肝と同程度かそれ以下であり、集積と生化学的所見が一致した。炎症所見を認めた7例のうち明らかに血管に異常集積が見られたのは2例のみで結果に乖離が見られた。残りの5例は他に炎症の原因があったため、血管には集積が見られなかったと考えられる。 血管炎の活動性は生化学的所見のみでは断定できず、FDG PET/CTが評価に役立つ可能性が示唆された。また血管に集積を認めたことで、新たに血管炎の診断が可能となった症例もあり血管炎の診断にも有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
症例の選択と画像及び生化学的所見の解析を行うことができたが、症例数が少ないことが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
症例数が少ないため、計画にあるように対象症例を過去に遡るとともに、新規データの症例追加を実行する。 2018年度保険改定に伴い、FDG PETの大型血管炎への利用が保険内で可能になった。このことから、保険内で行われる患者数の増加が期待できるため、これらの症例についても前向きないし後ろ向きの形で、症例として採用することも試みる。 さらに動脈硬化や正常人の解析を追加し、今回の血管炎患者との比較を行うことで動脈硬化と血管炎による集積の差異を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
理由:研究に必要な解析ソフトは購入したが、余剰金を残したものが残高として残ったものである。
使用計画:次年度に繰り越し、物品費として利用する計画である。
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Research Products
(7 results)