2018 Fiscal Year Research-status Report
FDG-PET/CTによる大動脈動脈硬化の定量的評価法の確立
Project/Area Number |
17K16456
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
井手口 怜子 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (10457567)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | F-18 FDG-PET-CT / 大動脈 / 血管炎 / SUV max / SUV mean / TBR |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度はF-18 FDG-PET-CTを撮像した患者のうち、既往・現病に血管炎を有する症例および血管炎の精査目的に撮像された症例を対象とし、FDGの集積を解析した。H30年度は血管に異常を認めない15症例を検討対象患者群として選択した。症例の内訳は男性9名、女性6名、年齢21~29歳、平均年齢24.9歳であった。画像解析としては早期像・後期像において上行大動脈に5箇所のregion of interestを設定し、standardized uptake value (SUV)の最大値(SUV max)、平均値(SUV mean)を計測した。その後、SUVのtarget (動脈)とbackground (静脈)の比;the target-to-background ration (TBR)を算出した。 男女間の比較ではSUV max・SUV meanで男性が女性に比し高値であり、TBRは男女間に差はみられなかった。SUV maxは早期像で中央値1.919、後期像で中央値1.665。SUV meanは早期像で中央値1.821、後期像で中央値1.547。TBRは早期像で中央値1.211、後期像で中央値1.44であった。TBRは後期像でほぼ全例上昇しており、その値は動脈硬化の報告に近い値であった。SUV max・SUV meanは後期像で減少しているものが多かった。視覚的には後期像で集積が上昇しているものが数例認められた。 これらの結果より、正常者においても動脈壁のFDG集積が認められる症例があり、特に後期像のTBRが比較的高値であることが判明した。動脈硬化や血管炎と誤診しないよう、注意することが必要であり、今後の検討で正常者、動脈硬化、血管炎の鑑別に有用なパラメーターの抽出を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
症例の選択と画像の解析を行うことができたが、症例数が少ないことが判明したため。また、人的なサポートの不足も遅れに影響しているものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度行った血管炎の解析を過去にさらに遡るとともに、新規データの症例を追加する。また正常人として年齢の幅を広げ、さらに動脈硬化を有する症例を追加する。血管炎と正常人、動脈硬化との集積の差異を検討し、最適な解析法を検出する。進捗の遅れに人的サポートの不足が影響している可能性があるため、研究協力態勢の充実のための人員雇用も考慮する。
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Causes of Carryover |
理由:研究に必要な部品は購入したが、余剰金を残したものが残高として残ったものである。 使用計画:次年度に繰り越し、物品費として使用する計画である。また、一部は人的サポートのための雇用費にも利用する。
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