The impact of Gadolinium deposition at the dentate nucleus to coordination of movements and higher brain function

2018 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 17K16465
• Research Institution: University of the Ryukyus
• Principal Investigator: 與儀 彰 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80510718)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: ガドリニウム / 歯状核 / 沈着 / 安静時脳機能MRI / 巧緻運動 / 高次脳機能 / 拡散テンソル

Outline of Annual Research Achievements

小脳歯状核へのガドリニウム沈着が、巧緻運動機能、高次脳機能へ及ぼす影響に関する研究の最終報告である。
本研究の目的は、小脳歯状核へのガドリニウム沈着が、歯状核が司る巧緻運動機能や高次脳機能に与える影響を明らかにするものである。ガドリニウムは核磁気共鳴画像(MRI)検査のT1強調像で強い高信号を呈するため、小脳歯状核に沈着すると、同部がT1強調像で淡い高信号を呈するようになる。我々は現在、過去2016年4月~2017年10月の間に頭部MRIが施行された患者で、過去5回以上の造影剤投与歴がある患者の頭部T1強調像を遡及的に確認した(Kanda, et al. Radiology. 2015)。対象となった患者の単純T1強調像にて、全例で軽度～中等度の信号上昇を認めた。電子カルテ上では、巧緻運動機能や高次脳機能への影響を疑う記載は認めなかった。
続いて神経心理テスト、安静時脳機能MRIおよび拡散テンソル画像などadvanced MRI撮影の依頼を試みたが、それぞれの検査が比較的時間のかかるものであり、患者自身の同意を得ることが出来なかった。
当院でのT1強調像はT1 fluid attenuated inversion recovery (T1-FLAIR) 法を用いている。過去の報告は主にspin echo法でT1強調像を撮影しているが、T1-FLAIRはより鋭敏にT1短縮を捉えることが可能である。歯状核の信号上昇の頻度が過去の報告よりも高いが、これまで捉えられなかった微量のガドリニウムを検出していたものと考えられる。現時点でガドリニウム沈着による有害事象が明らかにされていないため、より鋭敏に沈着を検出することの意義は不明だが、今後の検討に活かしていきたい。
前向き症例の登録が困難な状態であり、成果を得ることが出来なかったが、今後も研究は継続していく予定である。