2017 Fiscal Year Research-status Report
立位胸部CTの検査法の確立と胸部疾患に対する立位CTの臨床的有用性の検討
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17K16482
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山田 祥岳 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60383791)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | CT / 肺 / 胸部 / 立位 / 呼吸器 / computed tomography / 循環器 / 座位 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.新たな診断機器である立位(座位)胸部CTが日常臨床でルーチンに施行可能かを評価した。①立位CTの設置室への被験者の呼び入れ、②立位CT撮影のための被験者固定、③立位胸部CT撮影プロトコール、④立位CT撮影時間、⑤被験者の退出までのスループット、⑥画像ビュワーへの画像転送に関して評価し、立位CTを日常臨床でルーチンに施行可能であることを確認した。
2.同一被験者に対し、通常の臥位CTと、立位(座位)CTの両方を撮影した。同一被験者の臥位CT画像と立位(座位)CT画像のそれぞれにおいて、CT画像での肺の体積を算出し、その違いを検討した。その結果、臥位と比較して、立位・座位では、有意に肺の体積が大きく、さらに肺の下葉においてその違いが大きいことが明らかとなった。この結果を第77回日本医学放射線学会総会(2018年4月12日~15日)で発表した。
3.通常の臥位CT画像と立位(座位)CT画像のそれぞれの肺の体積と、呼吸機能検査でのTotal Lung Capacity(全肺気量)との関連性を検討した。その結果、臥位での肺の体積と比較して、立位・座位での肺の体積の方が、呼吸機能検査でのTotal Lung Capacity(全肺気量)の値と近いことが明らかとなった。通常の臥位CTと比較して、立位・座位CTの方が、より密接に呼吸機能検査結果と関連していると考えられた。この結果も第77回日本医学放射線学会総会(2018年4月12日~15日)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した、平成29年度の研究実施計画通りに進捗しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成29年度に引き続き、同一被験者に対し、臥位CT、立位(座位)CTを施行する。そして、同一被験者の臥位CT画像と立位(座位)CT画像を比較し、各臓器の解剖学的構造の位置、肺野の体積、脈管径等について、その違いを検討する。 2.平成29年度に引き続き、同一被験者に対し、臥位と立位(座位)の両方で、吸気と呼気のCTを撮影する。そして、臥位と立位(座位)での、肺や横隔膜の動きの違い、肺容積変化の違い、脈管径の変化等を検討する。 3.臥位、立位(座位)CTでの臓器・脈管系の形態学的パラメーターと各種臨床データを比較する。 4.引き続き、循環器内科や呼吸器内科の複数の医師と緊密な連携をとり、循環器疾患(主に肺高血圧症)、呼吸器疾患(主にCOPD/肺気腫)に対し立位(座位)CTを撮影し、立位(座位)CTの有用性を検討していく。
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Causes of Carryover |
<次年度使用額が生じた理由> 1.当初予定していた学会へ、都合により参加できなかったため。2.本研究では、CTの検査費用(1万7000円程度)を本科研費で負担しており、平成29年10月31日時点では当初計画よりも進展があったため、平成30年度(と平成31年度)に立位CTを撮影予定であった被験者を前倒しして平成29年度内に撮影しようと計画し、平成29年10月31日に前倒し支払請求を行った。しかし、その前倒しした撮影の人数が平成29年10月31日時点での予想よりもやや少なかったため。 <使用計画> 平成30年度(と平成31年度)に立位CTを撮影予定であった被験者を少し前倒しして平成29年度内に撮影したが、CT撮影総人数に変わりはなく(研究を遂行する上では大きな問題はなく)、研究費を使用予定である。
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