2017 Fiscal Year Research-status Report
放射線治療における標的内部の放射線感受性の不均一性を検出するための方法論の確立
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17K16497
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
小林 和馬 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, レジデント (00747610)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 非剛体レジストレーション / 解剖学的標準化 / テンソル分解 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん放射線治療の個別化・精密化された医療体系を確立するためには、同じ腫瘍や臓器の内部において部位ごとに異なる放射線感受性の不均一性を検出し、それぞれのボクセルに固有の放射線感受性に合わせたきめ細かな線量分布の調整が必要不可欠である。従来より広く用いられている線量評価法であるDVH(Dose-volume histogram)では、本来は空間的な広がりを有する線量分布を体積と線量の二次元の情報に縮約してしまう。そこで、申請者らは、標的の輪郭に基づいた非剛体レジストレーションと、医用画像から網羅的かつ定量的に画像特徴量を抽出するためのソフトウェアを独自に開発した。こうした要素技術を利用することによって、患者ごとに位置や形状の異なる解剖学的情報を共通座標上にマッピングし、画像特徴や線量分布を相互に比較することが可能なデータ処理パイプラインを構成した。これに基づき、前立腺がんに対する小線源治療を受けた患者群に対して、治療後の尿道症状の重症度と相関する前立腺内部の線量分布の空間的パターンを求めることが出来るかの検証を行った。前立腺の輪郭に基づいた非剛体レジストレーションによる解剖学的標準化を行った後、共通座標系上に表現された線量分布に対して、テンソル分解を利用した次元削減手法に基づいた回帰分析を行った。また、テンソル分解に対してL1正則化項を導入することによって、学習がより安定することを確認した。結果、前立腺内部の放射線感受性の異なりに対応すると考えられる空間的なパラメータ分布を求め、そのパラメータ分布が一定の臨床的妥当性を有することを確かめた。本研究実績は非剛体レジストレーションによる解剖学的標準化と正則化付きテンソル回帰に基づいた三次元統計解析法として、国内学会にて発表し、更に学術誌への投稿を行っている。また、前立腺がん小線源治療以外の症例についても当てはめ、手法としての汎用性を確認していく方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非剛体レジストレーションに基づいた解剖学的標準化とテンソル分解を利用した三次元統計手法を確立し、前立腺がんに対する小線源治療後の症例においてその有用性を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
非剛体レジストレーションとテンソル分解を利用した三次元統計手法を確立した後、当初の研究ではRadiomicsと呼ばれる画像特徴量の解析手法と結び付けた展開を検討していた。しかしながら、最新の機械学習手法である深層学習の画像処理における進歩発展が著しく、申請者においても深層学習を用いた放射線治療分野に対する予備的な検討を既に実施し、その有用性を確認している。今後、深層学習を中核技術としてデータ処理パイプラインを再構築し、本研究課題における応用を推進していく。
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Causes of Carryover |
当初購入予定であったソフトウェアの相当部分を独自開発したため、購入費が抑えられたため。また、大規模なデータ抽出を行う必要が少なく、研究代表者自身で行ったため、人件費・謝金を計上せずに済んだため。この結果として生じた次年度繰越金については、主にコンピュータ解析の環境構築に向けた物品費として利用予定である。
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Research Products
(1 results)