2017 Fiscal Year Research-status Report
患者志向の頭頸部癌高精度放射線治療計画法の確立に向けた新規有害事象予測モデル構築
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17K16501
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Research Institution | Osaka International Cancer Institute |
Principal Investigator |
平田 岳郎 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 放射線腫瘍科 診療主任 (20777916)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高精度放射線治療 / 放射線治療の有害事象 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部癌に対する放射線治療適応症例の増加に伴い、治療後の有害事象に配慮した治療計画法の開発が急務となっている。本研究では、放射線治療後の甲状腺機能低下症、唾液分泌障害、味覚障害を対象として、既存の報告にない指標も用いた新規予測モデルの構築を目指している。初年度の研究成果としては下記のとおりである。 1) 甲状腺機能低下症 頭頸部癌に対する放射線治療を受けた患者212例について解析を行った。放射線治療計画装置上で甲状腺の輪郭を入力し、実際の治療計画と照合し甲状腺に照射された放射線量の分布、線量-体積関係に関する指標を算出した。各症例について、治療後の甲状腺機能の推移を含めた臨床データと先述の線量-体積関係指標を用いた解析を行い、甲状腺機能低下症発症の予測モデルを構築した。今後、この予測モデルを元に、患者毎の甲状腺機能低下症発症リスク予測、発症リスクを低減させる個別化放射線治療計画が可能となる。 2) 唾液分泌障害、味覚障害 頭頸部癌に対する放射線治療を受ける患者のうち、研究に協力を得られた患者について、治療期間中および治療終了後の口腔水分量測定および自覚症状に対するアンケート調査を行った。平成30年3月末の時点で266名の患者の協力を得た。治療期間中、治療直後の急性期症状についてはデータが集積してきたため、解析を開始した。放射線の線量分布、臨床データ、口腔水分量測定の結果、アンケート結果を統合的に解析中であり、唾液分泌障害・味覚障害の発症予測モデル構築を目指している。予測モデルが構築されれば、甲状腺機能低下症同様、患者毎の発症リスク予測、発症リスクを低減させる個別化放射線治療計画が可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
甲状腺機能低下症については予測モデルが構築できている。 また、急性期の唾液分泌障害、味覚障害についても解析を開始することができている。 ただし、治療後の経過が思わしくなく長期のフォローができていない患者もおり、治療後晩期の唾液分泌障害および味覚障害についての検討を行うためには、より多くの症例集積が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
甲状腺機能低下症については、論文化により研究成果発表を目指す。 唾液分泌障害、味覚障害については、急性期の発症予測モデル構築を目指すとともに、治療後一定期間(半年後、1年後など)経過した段階での症状および回復状況についても解析を開始したいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究用の物品が予想より安く購入できたため。 また、統計解析の委託を次年度にまとめて行うこととしたため。
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