2017 Fiscal Year Research-status Report
IgGFc N型糖鎖を使用した乳癌予測モデルの開発
Project/Area Number |
17K16505
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川口 展子 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (60771540)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乳癌 / バイオマーカー / 血清IgGN型糖鎖 / 診断予測モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
乳癌は早期発見により手術での高い治癒率が期待でき、患者の負担が大きい抗がん剤治療をせずに済む可能性も高くなる。しかしながら現状では、病気が、0、I期で診断される症例は半数程度で、簡便で感度の高い診断手法の開発が必要とされている。本研究ではパイロットスタディにて開発した血清中のIgG糖鎖を用いた乳癌診断予測モデルを検証することを目的としている。 研究実施計画に記載した4つのサブテーマについて記載する。まず、検証用コホートでのIgG糖鎖の診断予測のモデルの検証については、血清中のIgG糖鎖の安定性について検討を行った。IgG糖鎖が安定していることは将来臨床応用を目指すにあたり必須であり、安定性を確認することができた。さらに、バイオバンクシステムを利用し検証用のコホート(ケースコントロール)を作成し、解析中である。同様にサブテーマ2,3にあげた非浸潤癌症例や他癌種との比較に関しても、症例集積、測定を終了し統計的な解析を開始している。4つ目の基礎研究についても末梢血のB細胞を用いて各種サイトカインの存在下でIgGを分泌させ糖鎖の解析をしているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4つのサブテーマについて各々記載するが、計画通り概ね良好である。 1つ目のサブテーマである「検証用コホートでのIgG 糖鎖の予測モデルとマンモグラフィーとの感度比較」に関しては、検証用コホートの作成・IgG 糖鎖の測定・IgG 糖鎖を用いた予測モデルなどのデータ解析の開始を予定していたが、計画通り進行し、現在データ解析を行っている。また、計画には含まれていなかったが、IgG糖鎖の測定系の安定性も様々な状況を想定して行った。 2つ目のサブテーマである「非浸潤性乳癌でのIgG 糖鎖を用いた診断予測モデルの有用性の検討」に関しては、同様に検証用コホートの作成・IgG 糖鎖の測定・IgG 糖鎖を用いた予測モデルなどのデータ解析の開始を予定していた。こちらも測定まで終了し、データの解析を開始している。 3つ目の「IgG 糖鎖の変化が報告されている他疾患(胃がんや自己免疫疾患等)のIgG 糖鎖プロファイルとの比較」に関しては、検証用コホートの作成を予定しており、胃がん、肺がん、糖尿病、自己免疫疾患の症例のリクルートを行った。糖尿病や自己免疫疾患は数例ずつしかリクルートできなかったが、リクルートはいったん終了し、IgG糖鎖の測定を開始している。 4つ目の「IgG Fc N 型糖鎖制御のメカニズムに関与しているサイトカインを同定する基礎研究」については各種サイトカインの条件により生成されるIgG 糖鎖の違いを検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1つ目、2つ目のサブテーマである「検証用コホートでのIgG 糖鎖の予測モデルとマンモグラフィーとの感度比較」「非浸潤性乳癌でのIgG 糖鎖を用いた診断予測モデルの有用性の検討」に関しては、パイロットスタディと検証用コホートのデータを用い、予測モデルの精度向上を試みる。また、臨床情報(家族歴など)を収集してモデルに含め、精度が向上できるか試みる予定である。3つ目の「IgG 糖鎖の変化が報告されている他疾患(胃がんや自己免疫疾患等)のIgG 糖鎖プロファイルとの比較」に関しては、胃癌、肺癌、糖尿病、自己免疫疾患と乳癌のプロファイルの比較、各疾患と健常者との比較を行う。また、乳癌以外の疾患症例のプロファイルを用いて、予測モデルの偽陽性率に影響を与えないか確認する予定である。 4つ目の「IgG Fc N 型糖鎖制御のメカニズムに関与しているサイトカインを同定する基礎研究」については各種サイトカインの条件により生成されるIgG 糖鎖の違いを検討中である。IgG 糖鎖に影響しているサイトカインから、仲介する自然免疫系を推測し、乳癌 細胞やB 細胞との共培養を行ってメカニズムの解明を進める予定である。 また、来年度以降の研究計画に関しては、IgG糖鎖を使用した予測モデルの実用化を目指して測定系の自動化を進める一方、実用化のスキームを検討していく予定としている。
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Causes of Carryover |
学会出張費、英文校正費用、試薬の追加購入のため、必要である。
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Research Products
(2 results)