2017 Fiscal Year Research-status Report
移植前Mitomycin-C処置ドナー樹状細胞を介した免疫寛容誘導の解明
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17K16512
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 直哉 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90622332)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Mitomycin-C / 膵島移植 / 前処置 / 免疫寛容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Mitomycin-C(MMC)処置膵島が移植後に免疫抑制剤を用いずに長期生着を達成する機序を解明することである。これまでの研究では、MMC処置により膵島サイトカイン(IL-6,MCP-3,MMP-3など)の分泌抑制が生じ、宿主の自然免疫応答が抑制されることを明らかにしている。そこで今年度は、MMC処置による移植グラフトへの獲得免疫応答を評価した。 糖尿病マウスの腎被被膜下にMMC処置ラット膵島を移植する動物実験モデルにおいて、長期間生着した個体における宿主の免疫応答を免疫組織学的染色にて評価した。膵島移植後100日間の血糖正常化を達成したすべての個体(n=4)において、生着した膵島を確認した(インスリン染色)。また、移植グラフト周囲には宿主リンパ球が限局性に集簇していた。さらに、CD3およびCD45Rを用いて集簇リンパ球の組成を評価すると、中心にCD3陽性T細胞、辺縁部にCD45R陽性B細胞が極性をもって局在していることが明らかになった。これらの興味深い所見は、免疫寛容に関連する宿主免疫応答であると考察された。 移植前のex-vivo MMC処置により、移植部位における末梢性免疫寛容が誘導され、免疫抑制剤を用いずに長期生着が達成されたものと考えられた。今後、MMC処置膵島内で生じるドナー由来樹状細胞の形質変化を検討し、長期生着に関連する特徴的免疫応答への架け橋を解明することで、移植医療における究極的な目標である免疫寛容誘導モデルの確立が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
移植実験手技の安定化に時間を要したこと。 本学の動物実験施設の細菌感染により、動物実験の実施が不能となった期間があること。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、Auto MACSによる膵島内樹状細胞の分離を行い、MMC処置により膵島組織内樹状細胞の形質が、免疫寛容誘導性樹状細胞に変化するか否かを評価する。 また、膵島内樹状細胞とドナーリンパ球を用いて、ELISPOTアッセイを行い、ドナー特異的免疫寛容誘導について評価する方針である。
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Causes of Carryover |
(理由) 消耗品購入等に関して、経費節約に努めたため残額が生じた。 (使用計画) 次年度の消耗品等に使用する。
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